ロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)は18日、今月2日に発生したプロトンMロケットの打ち上げ失敗に関する調査報告書を公表した。
同文章によれば、ロケットに搭載されていた6つの角速度センサーのうち、3つが逆向きに取り付けられていたことが判明し、また模型を使ったシミュレーションの結果、センサーが逆に取り付けられていた場合、実際に起きたような飛行をしてしまうことが確認されたことから、これが失敗の原因として断定された。また従来行われていた打ち上げ前の試験では、今回のような間違いを検出することはできなかったこともわかり、今後は映像で記録するなどの対策が採られるとのことだ。
一方で、なぜ逆向きに取り付けられたのかということに対しては明かされていない。ロシアのドミートリー・ロゴージン副首相が以前メディアに明かしたところによれば、当該部品は接続先を間違えないように分かり易く色分けされており、またそもそもケーブル長の関係から、どう間違っても逆向きには接続できないようになっているとされる。組み立てにおいてヒューマン・エラーを防ぐように部品や配置を設計することはどのような工業製品でも大抵行われていることだ。
センサーが逆向きに取り付けられた理由としては、作業手順の間違い、あるいは作業手順の書かれたマニュアルの間違いなどが考えられているが、しかし前述のように物理的に逆向きに接続すること自体が難しいため、破壊活動の可能性もあるとされている。イタル・タス通信によれば、すでに当該部品の取り付けの指示を出した人間、実際に取り付けを行った人間は特定されているとし、彼らへの調査が行われることになろう。
また事故後、初期の段階で報じられた、予定時刻よりも約0.4秒ほど早く離昇してしまった件については、ロスコスモスは事実と認めつつも、失敗に至った原因ではないとしている。
今後この報告書はロシア政府によってさらに調査されることになる。またプロトンロケットの商業打ち上げを行っているインターナショナル・ローンチ・サービシズ社も独自の事故調査委員会を立ち上げており、こちらは8月ごろに報告書を出すとしている。
イタル・タス通信社によれば、プロトンの打ち上げ再開は9月以降になるだろうとのことだ。
■О работе Межведомственной комиссии по расследованию причин аварии РН «Протон-М»
http://www.federalspace.ru/main.php?id=2&nid=20216