今年3月に、アナリティクカル・グラフィックス社(AGI)の研究部門CSSIが、ロシアの小型衛星ブリッツと中国の衛星破壊実験によって生じた気象衛星「風雲一号C」のデブリとが衝突したと発表したが、アメリカ航空宇宙局がこれに反論した。

この事件は今年の2月、ブリッツの軌道が突如として変化したことが確認されたことで、ロシアからその報告を受けたCSSIが独自に調査した結果、風雲一号Cの破壊によって生じた破片の一つが、姿勢の変化が起きたと思われる時間にブリッツに接近することが判明、また変化が生じたとされる時期に接近する物体はただこの一つだけであることから、両者は衝突したと結論付けられた。

しかし、NASAのオービタル・デブリ・プログラム局が発行するオービタル・デブリ季刊ニュース(ODQN)の4月号によれば、今年の1月22日にブリッツの姿勢が変化した等の事象は事実としながらも、既知の物体によるものではない、つまり風雲一号のデブリではないとし、したがって未発見の微小デブリによるものである、としている。またこれはスペース・デブリの追跡などを行うアメリカの宇宙監視ネットワーク(Space Surveillance Network)の専門家によって確認されたものであるとのことだ。

とは言え、AGIも未確認のデブリによるものである可能性は真っ先に考えているはずであり、それを踏まえた上で、やはり風雲一号Cのデブリが原因で間違いないと結論付けたはずであるが、この件に関してAGIから再反論などはまだ出されていない。

 

Source

  • NASA -  Orbital Debris Quarterly News April, 2013 Volume 17 - Issue 2