1971年12月、旧ソビエト連邦の火星探査機マルス3号が史上初となる火星への軟着陸に成功した。しかし、着陸からわずか14秒半で原因不明の通信停止が発生し、以来消息不明となっている。40年以上の時を経て、その着陸機らしき物体がNASAの火星探査機MROの画像から見つかった。
最初の発見者は、惑星探査が好きなロシアの一般市民たちだった。推定着陸地点周辺をMROが2007年11月に撮影していたので、1.8億ピクセルにおよぶ画像データを手分けして捜索したのである。こうしてマルス3号の残骸らしき物体が2012年末に見つかると、追加観測の提案を受けたMROの高解像度カメラ(HiRISE)運用チームが2013年3月10日にカラー撮影を実施した。
マルス3号らしき物体のうち、特に目立つのは直径7.5メートルの白い円だ。最大まで広がったときの直径が11メートルだった同機のパラシュートではないかと見られる。このほかにも逆推進ロケットや着陸機本体、大気圏突入時の防熱シールドらしき物体がMROの画像には写っている。これらの形状は、かつてマルス3号の開発に携わったロシアの技術者や科学者たちの証言とも一致したという。
■NASA Mars Orbiter Images May Show 1971 Soviet Lander
http://www.nasa.gov/mission_pages/MRO/news/mro2013411.html