ロシアのフルーニチェフ社は1日、開発中の新型ロケット、アンガラのうちの一機種、アンガラ1.2の第2段とフェアリングとの結合試験が完了したと発表した。
この試験は2月末に行われ、また同時に第2段の空気圧・油圧システムの試験も完了し、次は最後の試験である電気試験が行われる予定だ。すでにアンガラ1.2は試験場内にあり、これを通過すればいよいよ初打ち上げに向けて、プレセツク宇宙基地へ輸送される見込みとなっている。
打ち上げ時期は、現時点で今年の10月から11月頃に予定されている。また、この初打ち上げで使われる機体は特別にアンガラ1.2PPと呼ばれており、PPとは「初打ち上げ」を意味するпервый пускの頭文字から取られている。
アンガラは現在活躍中のプロトンロケットの後継機となるべく開発中のロケットで、モジュール式であることが最大の特長としている。アンガラの第1段はユニバーサル・ロケット・モジュール(URM)と呼ばれ、これを束ねることにより、比較的簡単に打ち上げ能力を高めたロケットを造ることができるという仕組みだ。またそれに合わせて第2段を換装したり、第3段を装備することで、様々な大きさ、質量の人工衛星に対応することができる。言い換えればアンガラと名の付くロケットは、中型ロケットでもあり、大型ロケットでもあり、そして超大型ロケットにもなれるというわけだ。
現在試験が進められている機体はアンガラ1.2と呼ばれ、これは地球低軌道に3.8tの打ち上げ能力を持つ、もっとも標準的な構成である。またURMを5基束ねたアンガラA5と呼ばれる機体は、地球低軌道に7.5t、静止軌道へは4.5tの打ち上げ能力を持ち、こちらは現在開発中だ。
またもう一つの特長として完全ロシア製であることも挙げられる。現在フルニチェフ社が製造しているプロトンロケットは、一部の部品をウクライナから輸入している。プロトンが開発された当時は、その部品を造っていたところもソビエト連邦内であったため何の問題も無かったが、ソ連崩壊後の現在、独立したウクライナ共和国の企業になってしまったためだ。この状況はロシアとウクライナの関係という問題も含めて、あまり好ましいとは言えず、ロシアはかねてから完全にロシアの中で製造ができるロケットを欲し続けていたという背景がある。
なお、アンガラはアンガラとしてはまだ打ち上げられたことはないが、URM自体は韓国との共同で開発された羅老ロケットの第1段としてエンジン共々使用されており、すでに3度の打ち上げ実績がある。
■В Космическом Центре им. М.В. Хруничева прошла «примерка» головного обтекателя ракеты-носителя «Ангара 1.2ПП»
http://www.khrunichev.ru/main.php?id=1&nid=2742