アメリカ航空宇宙局(NASA)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)は16日、NASAの新型有人宇宙船オリオンの開発に、ESAが参加する事を正式発表した。

オリオンは将来、月や小惑星、火星に人間を送り込むことを目指し、現在NASAやロッキーゴ・マーチン社が開発中の宇宙船だ。オリオンは大きく二つ、宇宙飛行士が乗るクルー・モジュールと、スラスターや推進剤、太陽電池やバッテリー、生命維持装置などが載るサービス・モジュールとに分かれており、ESAが開発を担当するのはサービス・モジュールの方だ。

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ESAは国際宇宙ステーション(ISS)への無人輸送機としてATV(Automated Transfer Vehicle)を開発し、現在までに3機のATVを運用した実績を持ち、今年は4機目が打ち上げられる予定だ。ESAが有人宇宙船そのものを開発した経験は無いが、ATVの技術はサービス・モジュールの開発にとって十分であると判断されたわけだ。

オリオンは現在、2014年に行われる予定の、EFT-1(Exploration Flight Test)と呼ばれる飛行に向けて開発が続けられている。EFT-1はデルタIVヘビーという既存の大型ロケットを用いて、オリオンが実際の打ち上げ、宇宙飛行、地球大気圏への再突入、そして帰還に耐えることができるかが試験される。この飛行は無人で、またESAのサービス・モジュールは使用されない。

その後2017年にSLS(Space Launch System)と呼ばれる、現在開発中の超大型ロケットを用いて月への飛行EM-1(Exploration Mission 1)が行われる。この飛行も無人だが、ESAのサービス・モジュールが搭載される。2021年には有人で同様の飛行を行うEM-2が計画されている。

ESAがサービス・モジュールを提供する事により、NASAはその分の浮いた開発費を、オリオンのカプセル部やSLSの開発・製造に充てる事ができるようになるだろう。またESAにとっては、オリオンのサービス・モジュールという首根っこを押さえることで、オリオンの運用にある程度口出しでき、またそのミッションにESAの宇宙飛行士を参加させることができるようになるだろう。それはつまり、NASAが挑む小惑星や火星の有人探査という挑戦に、ESAも共同戦線を張るということである。

 

■ESA workhorse to power NASA’s Orion spacecraft / Research / Human Spaceflight / Our Activities / ESA
http://www.esa.int/Our_Activities/Human_Spaceflight/Research/ESA_workhorse_to_power_NASA_s_Orion_spacecraft

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