スペースXは日本時間9月4日、開発中の大型宇宙船「スターシップ」の試験機「SN6」(SNはSerial Numberの略)による高度150mへの無人飛行試験を実施しました。同社はほぼ1か月前の日本時間8月5日にも試験機「SN5」による飛行試験に成功しており、今回は実機スケールのスターシップ試験機による2回目の飛行試験となります。
Second 150m flight test of Starship pic.twitter.com/ROa0kQZXLI
— SpaceX (@SpaceX) September 4, 2020
▲スペースXがTwitterで公開しているSN6の飛行試験の様子▲
スペースXのTwitter公式アカウントではSN6による飛行試験の様子が公開されています。実機では6基(大気圏内用3基、大気圏外用3基)が搭載される予定の「ラプター」エンジンは今回も1基のみ搭載。8月のSN5と同じようにやや斜め上へ上昇したSN6は着陸パッドに向けてスムーズに降下し、1分弱で飛行を終えています。
スターシップ関連の無人飛行試験は2019年8月にも小型の試験機「スターホッパー」による高度150mの飛行試験が実施されていますが、実機スケールの試験機に移行してからは地上試験での機体損傷・喪失が相次いでいました。8月に飛行したSN5と今回のSN6は実機スケールといえども機首部分(ノーズコーン)や翼が省略されており、前述のようにエンジンも1基しか搭載されていません。
テキサス州ボカチカから飛行試験の様子をライブ配信しているNASASpaceFlight.comによると、今後飛行が予定されている「SN8」は実機同様に機首部分や翼も備えた試験機となっており、3基のエンジンを使って高度20kmへの飛行も可能とされています。
また、スターシップを地球周回軌道へ投入するには全長70mの大型ブースター「スーパーヘビー」が欠かせませんが、スペースXのイーロン・マスク氏は、早ければ今年の10月までにスーパーヘビーの試験機による飛行試験が行われる可能性に言及しています。スーパーヘビーは31基ものラプターエンジンを搭載する予定ですが、低高度の飛行試験であれば2基のエンジンがあれば実施可能とされています。
全長50mのスターシップは旅客輸送用のクルー型なら100名を、貨物輸送用のカーゴ型なら100トンのペイロード(人工衛星や貨物など)を地球低軌道に打ち上げ可能で、軌道上で推進剤を補給することで月や火星にも飛行できるとされています。なお、ZOZOの元社長・前澤友作氏が複数名のアーティストとともにスターシップに乗り込み、2023年に月周辺を飛行する予定であることも昨年発表されています。
関連:スペースX、スターシップ試験機「SN5」による高度150mへの飛行に成功
Image Credit: SpaceX
Source: NASASpaceFlight.com
文/松村武宏