オリオン宇宙船の初飛行に向けて洋上回収作業の訓練も進む
オリオン宇宙船のクルーモジュール回収訓練の様子。3月14日撮影(Credit: NASA/Tony Gray)

NASAの有人月面探査計画「アルテミス」で使用される新型宇宙船「オリオン」は、大気圏に再突入したあと太平洋に着水することでミッションを終了します。今年に予定されている最初の無人テストミッション「アルテミス1」に向けて、オリオン宇宙船の回収訓練が実施されました。

今回実施された回収訓練「Underway Recovery Test-8(URT-8)」は、アルテミス1のミッションを終えて帰還したオリオンの回収作業を念頭に行われました。カリフォルニア沖の太平洋上で本番さながらに実施された回収訓練の支援にはアメリカ海軍の輸送揚陸艦「ジョン・P・マーサ」があたり、艦尾の開口部から引き込んだクルーモジュールをウェルドックと呼ばれる艦内の格納設備に収容する手順などが、実物大の模型を使って確認されています。

翼を持っていたスペースシャトルは飛行機のように滑空して滑走路に着陸しましたが、カプセル型のクルーモジュールだけが帰還するオリオンは、アポロ宇宙船のように洋上へ着水します。そのため、オリオンでは宇宙飛行士とクルーモジュールの回収に船が必要となりますが、ヘリコプターの運用が可能で、エアクッション型揚陸艇(ホバークラフト)や上陸用舟艇を収容するウェルドックを持ち、艦内に医療設備も備えた輸送揚陸艦は、帰還した宇宙飛行士と宇宙船を回収する任務にも適しています。

NASAによると、今回のURT-8では当初の訓練目標を無事達成したとのこと。先日まで続けられていたオリオン宇宙船のEMC試験も完了したことが発表されており、オリオン宇宙船とその打ち上げに使われる「SLS(スペース・ローンチ・システム)」の初飛行であるアルテミス1に向けて着々と準備が整いつつあります。

ジョン・P・マーサのウェルドックに収容されるクルーモジュールの実物大模型。3月13日撮影(Credit: NASA/Frank Michaux)

 

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Image Credit: NASA/Tony Gray
Source: NASA
文/松村武宏