アリアンスペース社は5月28日(日本時間)、ディレクTV社の通信衛星「ディレクTV-15」と、SKYメヒコ社の通信衛星「SKYM-1」の2機の通信衛星を搭載した「アリアン5 ECA」ロケットの打ち上げに成功した。
ロケットはクールー時間2015年5月27日18時16分(日本時間2015年5月28日6時16分)、南米仏領ギアナのクールーにある、ギアナ宇宙センターの第3アリアン発射場(ELA-3)から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから27分47秒後にディレクTV-15を、またその約10分後にSKYM-1を分離し、それぞれ所定の軌道へと送り込んだ。
ディレクTV-15は、米国のディレクTV社が運用する通信衛星で、エアバス・ディフェンス&スペース社が製造した。ディレクTV-15は5つの軌道位置で運用され、Kaバンドは西経99.2度と102.8度で、Kuバンドは西経101度、110度、119度において使用される。アラスカ、ハワイ、プエルトリコを含む全米に、4Kスーパー・ハイヴィジョンのDTH(Direct To Home)サーヴィスを提供する。打ち上げ時の質量は約6200kgで、設計寿命は約15年が予定されている。
SKYM-1は、メキシコの有料チャンネル放送のトップであるSKYメヒコ社が運用する通信衛星で、米国のオービタルATK社が製造した。西経78.8度の静止軌道で運用され、メキシコや中央アメリカ、カリブ諸島に多チャンネル放送を提供する。打ち上げ時の質量は約3000kg、設計寿命は約15年が予定されている。
アリアン5は、エアバス・ディフェンス&スペース社が開発、製造しているロケットで、アリアンスペース社によって運用されている。今回の打ち上げに使われたECA型は、アリアン5シリーズの中でも主力機として使われている機体だ。
アリアン5シリーズは今回を含めて79機が打ち上げられており、そのうちロケットが爆発、墜落したり、衛星を予定通りの軌道に投入できなかったりといった明確な失敗を4度起こしており、成功率は約94.9%ほどである。しかし、現行のアリアン5 ECAは、49機の打ち上げの中で失敗は1号機のみで、2号機以降の48機は連続で成功(アリアン5シリーズ全体では65機連続成功)を続けており、成功率約98%という高い信頼性を持っている。
アリアン5 ECAは現在、静止衛星の商業打ち上げ市場の約半分のシェアを握っているが、米国などではアリアン5より安価なロケットが出現しつつある。そこで、2020年代に向けてその地位をさらに確固たるものにするため、より打ち上げ能力を高め、一方でコストを約半額に抑えた後継機「アリアン6」の開発が始まっている。
■Arianespace - Press Release - Arianespace launches two commercial satellites for the Americas on Ariane 5
http://www.arianespace.com/news-press-release/2015/5-27-2015-VA223-launch-success.asp