ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は5月12日、先月末に発生したプログレスM-27M補給船が制御不能に陥った事故について、初期段階での調査結果を発表した。

計画では、離昇から524.97秒後にロケットの第3段エンジンの燃焼を停止させる指令が出され、528.27秒後にプログレスM-27M補給船を分離することになっていた。しかし発表によると、実際には526.716秒後、つまり1.5秒ほど早く、「異常な分離」が起きたことが判明したという。この異常な分離がどういうものかについては不明だが、その結果として、プログレスM-27Mは遠地点高度が予定よりも40kmほど高い軌道に、一方の第3段は遠地点高度が20kmほど低い軌道に入ったとされる。

また、ロケットの第3段エンジンの燃焼終了後に、ロケットの第3段の燃料と酸化剤の両方のタンクが、おそらく破裂によって、減圧していたこともわかったという。

ただ、現時点では、この2つの出来事がどのように関係するのかまでは明らかにされていない。例えば、プログレスM-27Mに何らかの問題が起き、早期の分離とタンクの破裂を引き起こした可能性もあれば、逆にタンクが破裂したことで早期に分離された可能性など、さまざまなシナリオが考えられる。

ロスコスモスのイーガリ・カマローフ長官は、タス通信に対して「失敗の根本となる原因を知るためには、さらに詳細な調査が必要である」と語っている。

ロスコスモスではプログレスやロケットを製造した企業などと協力し、13日からより詳細な調査に入るという。その結果は5月22日までには発表したいとしている。

プログレスM-27Mは4月28日、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた後、制御不能の状態に陥り、国際宇宙ステーションとのドッキングを断念することになった。その後大気との抵抗で徐々に高度を下げ、5月8日に太平洋の上空で大気圏に再突入した。

今回の発表では同時に、5月26日(日本時間27日)に予定していた、ソユーズTMA-17M宇宙船を搭載したソユーズFGロケットの打ち上げを、7月下旬まで延期することも明らかにされた。またそれに伴い、5月15日に予定していたソユーズTMA-15M宇宙船の地球への帰還も1か月ほど延期するという。さらにちょうどその間にあたる7月上旬には、新しいプログレス補給船の打ち上げを行うことも計画しているとされる。

ソユーズ宇宙船とプログレス補給船はよく似た造りをしており、またソユーズ2.1aロケットとソユーズFGロケットも、エンジンなどで共通している部品が多いため、まずは無人のプログレスを打ち上げて安全性が確認できるまでは、人を乗せた打ち上げはできないと判断されたようだ。また今回補給できなかった分の物資を、改めて送り届けるという意味もある。

ソユーズTMA-17Mには、オレッグ・コノネンコ宇宙飛行士(ロスコスモス、ソユーズのコマンダー)、油井亀美也宇宙飛行士(JAXA、フライト・エンジニア)、チェル・リングリン宇宙飛行士(NASA、フライト・エンジニア)の、3人の宇宙飛行士が搭乗する予定となっている。

またタス通信は5月12日付けで、5月15日に予定されていた、ソユーズ2.1aロケットによる軍事衛星の打ち上げも、2週間ほど延期されるだろうと報じている。

 

■РОСКОСМОС: НАЗВАНА ОСНОВНАЯ ПРИЧИНА АВАРИИ ТГК «ПРОГРЕСС М-27М»
http://www.roscosmos.ru/21481/