4月28日に打ち上げられた後、制御ができなくなっているロシアの「プログレスM-27M」補給船について、ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は5月6日、モスクワ時間5月8日1時23分から21時55分(日本時間5月8日7時23分から9日3時55分)のどこかで大気圏に再突入するだろうと発表した。
プログレスM-27Mの再突入時期については、米戦略軍も日本時間5月8日12時32分(誤差18時間)、またアマチュアの衛星ウォッチャーのTed Molczan氏は日本時間5月8日12時17分(誤差6時間)という予測を出しており、8日から9日にかけて落下することはほぼ確実と見られる。
船体のほとんどは再突入時に燃え尽きるものの、チタン製のタンクなど、いくつかの部品に関しては燃え残り、小さな破片となって地上に落下する可能性もあるという。
部品の燃え残りは、通常のプログレス補給船の再突入でも起こりうることであるが、南太平洋上に制御落下させているため大きな問題にはなっていない。しかし、今回のプログレスM-27Mの場合は制御ができないことから、いつ、どこで再突入するかを選ぶことができないため、人家のある地域に落下する可能性も、わずかながら存在する。
軌道の減衰は、大気の状態や宇宙船の姿勢などによって左右されるため、再突入する時間や位置を正確に予測することは難しい。したがって現時点では、5月8日から9日のどこかの時間に、北緯51.6度から南緯51.6度の間に位置するどこかに落下するということのみが確実にわかっていることである。
地表の約70%は海であり、人口密集地もまばらであるため、人家の上に部品が落下し、人などに危害を与える可能性は小さいが、ゼロではない。
プログレスM-27Mは4月28日、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた後、何らかの問題が発生し、地上との通信も取れず、制御不能の状態に陥った。ロスコスモスは29日、国際宇宙ステーションとのドッキングを断念し、その後も原因の分析と、再突入の制御を目指して機能回復に向けた努力が続けられたが、成功しなかった。
プログレスM-27Mには、国際宇宙ステーション(ISS)に補給するための水や食料、燃料、酸素などの物資が搭載されていた。なお、NASAやJAXAによれば、これらの補給物資がなくても、ISSの運用にも影響はないという。また、プログレスM-27MはISSより低い軌道にいるため、両者が衝突するなどといった危険もない。
現在、ロシアでは事故の調査が続けられており、結果は5月13日以降に発表されるという。現時点で明らかになっているデータなどから、原因はプログレスM-27Mではなく、打ち上げたロケットの第3段が爆発した、もしくは分離後にプログレスM-27Mに追突したためという説が有力視されている。なお、ロケットの第3段はすでに大気圏に再突入している。
■РОСКОСМОС: «ПРОГРЕСС М-27М» СОЙДЕТ С ОРБИТЫ 8 МАЯ 2015 ГОДА
http://www.roscosmos.ru/21463/