宇宙航空研究開発機構()は4月10日、磁気圏観測衛星「あけぼの」について、今年4月末ごろをもって運用を終了すると発表した。これは4月9日に開催された、文部科学省の宇宙開発利用部会において報告が行われたもので、運用終了の日時は、終了後に発表するという。

「あけぼの」は1989年2月22日に、M-3SIIロケット4号機によって打ち上げられた。「あけぼの」には磁場や電場、プラズマ波動やエネルギー粒子、放射線などを計測する機器や、を撮影するカメラなど、9つの観測機器を持ち、電子生成機構や現象に関連した物理現象の解明を主目的としていた。

当初、設計寿命は1年間とされていたが、その予想をはるかに超え、26年間にわたり観測を続けてきた。2011年からは科学コミュニティからの要請や、搭載観測機器の性能維持状況などから、主目的をヴァン・アレン帯などの内部磁気圏現象と活動との関連の解明を目的に運用され、多くの成果を挙げてきた。

しかし、いよいよここにきて、観測機器の多くが放射線劣化により観測を停止していること、また衛星の電源系機器の劣化や高度の低下によって、科学成果を出せる十分な観測データが取得できなくなったことを受け、衛星の運用を終了することを決定したという。

3月19日から4月18日にかけては、衛星の周回軌道がの影を横切らないため日陰時間が発生しない期間であり、搭載バッテリーを使用せずに済むため、「あけぼの」にとって観測機器を運用する電力が確保でき、観測好期になり、プラズマ波動観測器による観測の条件が良く、またスウェーデンのEISCATレーダが連続的にデータを取得している時期でもあることから、同時観測が行われる。この観測を最後に、4月末ごろを目途に電波を止め、運用を終了するという。

また「あけぼの」によって得られた成果や知見は、2016年度に打ち上げが予定されているジオスペース探査衛星「ERG」の観測計画立案やデータ解析に役立てられるという。

 

■磁気圏観測衛星「あけぼの」の運用終了についてPDF(5.4MB)
http://www.jaxa.jp/press/2015/04/20150410_akebono_j.pdf

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