三菱重工は3月9日、アラブ首長国連邦・ドバイの先端科学技術研究所(EIAST)から、地球観測衛星ハリーファサット(旧称ドバイサット3)の打ち上げを受注したと発表した。同社による海外衛星の商業打ち上げ受注は、韓国のアリラン3号(2012年打ち上げ)、カナダのテルスター12V(2015年度打ち上げ予定)に続いて3機目となった。

打ち上げは2017年度の予定で、ロケットはH-IIAが使われ、温室効果ガス観測技術衛星「GOSAT-2」に相乗りする形で打ち上げられる。

ハリーファサットはEIASTにとって3機目となる地球観測衛星で、かつてはドバイサット3と呼ばれていたが、アラブ首長国連邦のハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領の名前を取り、ハリーファサットという愛称が与えられている。

開発、製造は、大韓民国(韓国)のサトレック・イニシアティヴ社とEIASTとの共同で行われた。衛星には電子工学センサーが搭載されており、解像度は70cmほどとされる。打ち上げ時の質量は350kgで、設計寿命は5年ほどが予定されている。

サトレック・イニシアティヴ社とEIASTとのつながりは深く、先々代にあたるドバイサット1や先代のドバイサット2も、サトレック・イニシアティヴ社が開発を手掛け、EIASTが衛星技術の取得を目的に共同で開発に参加するという体制が組まれていた。今回のハリーファサットでもその体制は継承されているが、アラブ首長国連邦内にあるEIASTの衛星の製造、試験施設を使うなど、EIAST側がより深く開発に参加できるようになったという。

H-IIAロケットは、打ち上げ数の少なさや価格の高さから、商業打ち上げの受注では長年苦戦を強いられてきたが、徐々に市場に食い込むことができつつある。しかし、欧州アリアンスペース社のアリアン5ロケットは60機以上の打ち上げ連続成功を続けており、また米国スペースX社のファルコン9ロケットは、H-IIAよりも安価で、なおかつ打ち上げ成功数も順調に稼いでおり、今年中にもH-IIAの打ち上げ数に追いつこうとしているなど、今後も苦戦が続くことが予想される。

 

■三菱重工|ドバイEIASTから衛星打上げ輸送サービスを受注
http://www.mhi.co.jp/news/story/1503095625.html