イラン国防省や報道機関は2月2日、人工衛星ファジルを搭載した、サフィール・ロケットの打ち上げに成功したと発表した。また米軍もこの衛星が軌道を回っていることを確認しており、成功が裏付けられている。イランが人工衛星の打ち上げに成功したのは2012年から3年ぶりのことで、通算4機目となった。

米軍が発表している軌道情報によれば、ロケットはイラン時間2015年2015年2月2日14時20分ごろ(日本時間2015年2月2日17時50分ごろ)、イラン北部のセムナーン州にある、セムナーン衛星発射センターを離昇したと見られる。その後、高度224km x 470 km、軌道傾斜角55.53度と、224km x 460km、軌道傾斜角55.54度の軌道に、衛星とロケットの最終段と見られる2つの物体が投入されたことが確認されている。

ファジルはイラン・エレクトロニクス・インダストリーズ社が開発した衛星で、カメラを搭載し、地球を観測することを目的としているという。また小さなスラスターを持ち、軌道変更ができるという情報もある。打ち上げ時の質量は52kgで、設計寿命は1年半ほどとされる。なおファジルとは「夜明け」の意味だという。

イランは2000年代前半ごろから宇宙開発への取り組みを始め、2005年にはロシアによって製造された人工衛星スィーナー1を、ロシアのコースモス3Mロケットによって打ち上げてもらうことで人工衛星を持ちこととなり、また製造や運用に関するノウハウを手に入れた。そして2009年2月2日には、イランが独自に開発した人工衛星オミードを、同様に独自に開発したロケットであるサフィールを使って打ち上げることに成功した。

その後、2011年と2012年にも1機ずつ衛星の打ち上げに成功しており、今回が通算4機目の衛星となった。なお、2009年に初打ち上げ前に1回、2012年中に少なくとも2回、打ち上げに失敗しているとされる。

サフィールは2段式のロケットで、第1段には準中距離弾道ミサイル(MRBM)のシャハブ3を改造したものを使用しているとされる。第2段は2基のロケットエンジンを持っていることが確認されている。また2009年の打ち上げで使われたサフィールと、2012年や今回の打ち上げで使われたサフィールとは、推進剤などが変更されており、打ち上げ能力が大きくなっている可能性がある。

なお、国連安全保障理事会が2010年6月9日に採択した安保理決議第1929号により、イランは弾道ミサイルに関連する活動を禁止されているため、今回の衛星打ち上げは、この決議に違反しているということになる。

 

■PressTV-Iran satellite transmits data to earth
http://www.presstv.ir/Detail/2015/02/02/395835/Iran-satellite-transmits-data-to-earth

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