米航空宇宙局(NASA)は17日、ミシシッピ州にあるNASAステニス宇宙センターのA-1試験台に、RS-25ロケット・エンジンの改良型を据え付けた。NASAの次期ロケット、スペース・ローンチ・システム(SLS)の第1段への装備を目指した、燃焼試験の準備が完了した。

このエンジンは「ナンバー0525」と呼ばれるもの。もともとはスペースシャトルのメイン・エンジン(SSME)として30年以上に渡って使用され、そこにSLSで使用するために、エンジンの制御システムや推進剤の流路などに改良が施されたものだ。試験は今週から始まる予定となっている。

SLS(Space Launch System)は、NASAとボーイング社が開発しているロケットで、2011年に引退したスペースシャトルの実質的な後継機として運用される。しかし、地球低軌道までしか行くことができなかったスペースシャトルとは違い、SLSは月や小惑星、火星といった深宇宙に宇宙飛行士を送り込むことを目指している。

SLSの最初の試験打ち上げは2017年12月に予定されている。この飛行では無人のオリオン宇宙船を載せて打ち上げ、その後宇宙船は月を回り、地球に帰還する計画だ。

そして2021年には、宇宙飛行士を乗せた最初の打ち上げが予定されており、この飛行ではあらかじめ月周回軌道に人為的に持ってきた小惑星に、オリオンと宇宙飛行士を送り込むことが計画されている。

SLSの初期の打ち上げでは、スペースシャトルで使われたものを流用したRS-25Dが使われるが、SSMEは再使用を前提にしており、使い捨てられるSLSにとってはオーバースペックだ。そこで使い捨て用に改修されたRS-25Eや、さらにコスト低減を狙ったRS-25Fといったバリエーションが検討されている。

 

■NASA Begins Engine Test Project for Space Launch System Rocket | NASA
http://www.nasa.gov/press/2014/july/nasa-begins-engine-test-project-for-space-launch-system-rocket/#.U8zTG7G0fGh