スペースX社は18日、同日打ち上げたファルコン9 v1.1ロケットの第1段の、海上への着水実験に成功したと発表した。

ファルコン9 v1.1はドラゴン補給船運用3号機(CRS-3)を搭載し、米国東部夏時間2014年4月18日15時25分(日本時間19日4時25分)、フロリダ州にあるケープ・カナベラル空軍ステーションのSLC-40を離昇した。ロケットは順調に飛行し、ドラゴンCRS-3を無事、所定の軌道に投入した。

そして今回、ロケットの第1段を大西洋上に着水させるという実験が試みられた。通常、ロケットの打ち上げでは、第2段と分離した第1段は大気圏に再突入し、落下中や、海上や陸上に叩き付けられることで破壊されるが、今回の実験では分離後にロケットエンジンを再点火して減速、また装備されているスラスターを使い姿勢を制御しつつ降下し、さらに着水の寸前にもエンジンを再点火し、垂直の状態で安全に着水させるということが行われた。

スペースX社の事前の説明では、あくまでも今回は実験であり、成功率は30%から40%ぐらいだと言われていた。だが同社のイーロン・マスクCEOは、Twitterで実験が成功したと発表した。

スペースX社では現在、ファルコン9を再使用可能にし、打ち上げに掛かる費用をこれまでの1/100にまで引き下げた、ファルコン9-Rの開発を進めている。実現すれば宇宙輸送にとっては革命的な出来事となるだろう。今回の着水実験の成功は、そうした再使用ロケットの実現に向けた非常に大きな一歩となり、宇宙開発史に残る偉業となった。

ファルコン9-Rでは、第1段を打ち上げ基地の近く、あらかじめ決められた地点にピンポイントで着陸させることが目指されている。同社ではまた、グラスホッパーと呼ばれる垂直離着陸実験ロケットを開発、飛行試験を重ね続けており、少なくとも第1段を宇宙から安全に回収する技術は揃いつつある。

また今回のファルコン9には、初めて着陸脚が装備された。この着陸脚は展開式で、打ち上げ時は折り畳まれてロケットの外壁に固定されており、着陸の直前に開く仕組みだ。今回は海に着水させたため着陸脚は使用されなかったが、降下時に問題なく展開ができるかが試験された。ただし、こちらに関しては、現時点では成否は明かされていない。

スペースX社では今後も試験を続けていく予定だ。次の大きなハードルは、第2段を再突入させ、着陸させることだろう。

 

■Twitter / elonmusk: Data upload from tracking plane ...
https://twitter.com/elonmusk/status/457307742495993856