先日打ち上げられた全球降水観測計画主衛星(GPM主衛星)の運用を担当している、米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センターは28日、打ち上げ後に姿勢制御に問題が発生していた同衛星について、その問題を修正し、現在は正常に軌道を周回していると発表した。
GPM主衛星は2月28日3時37分(日本標準時)、種子島宇宙センターからH-IIAロケットによって打ち上げられ、高度約390km、赤道に対する角度が65.0度の軌道に投入された。その後、衛星から信号が届き、通信のやり取りができるようになり、また太陽電池パドルの展開にも成功した。しかし、衛星の姿勢を制御するリアクション・ホィールの使用率が想定よりも高いことが判明、運用チームはその後に予定されていた作業を一旦止め、問題解決に当たっていた。
発表によれば、衛星に搭載されているもう一つの姿勢制御装置である、磁気トルカを調整することで解決できたという。磁気トルカというのは、電磁石を使い、衛星をコンパス(方位磁針)のようにN極を北極に、S極を南極に向けることができる装置だ。
無事、正常に運用ができるようになった後、GPM主衛星はスタートラッカーという、衛星から見える恒星の並びから自分の姿勢を判断するための装置に電源が入れられた。そして観測データをやり取りする際に使われるハイゲイン(高利得)アンテナの展開にも成功。続いて、GPM主衛星が正確な時刻と位置を知るために使う、GPS装置にも電源が入れられた。
次に予定されている大きな準備作業は、NASAが持つTDRSと呼ばれる衛星を中継して、通信のやり取りをできるようにすることだ。これによって、地上のアンテナから見て、GPM主衛星が例え地球の裏側にいても、TDRSを介することで通信できるようになる。この作業は日本時間で今日、明日中に行われる予定だ。
本格的な観測開始に向け、着々と準備が進められている。
■GPM Core in Orbit, Performing Normally | Precipitation Measurement Missions
http://pmm.nasa.gov/mission-updates/gpm-news/gpm-core-orbit-performing-normally