イタル・タス通信やインタファクス通信は27日、モスクワ時間27日20時53分(日本時間28日2時53分)に、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から、偵察衛星コーンダルを搭載したストリラー・ロケットが打ち上げられたと報じた。衛星は離昇から25分後に予定通りの軌道に投入されたという。

一方でロシア連邦宇宙局、ロシア国防省、ロシア航空宇宙防衛軍、またロケットと衛星の製造を担当したNPOマシノストロィエニヤ社などは、今回の打ち上げについて一切の情報を明かしていない。

これは近年のロシアの宇宙開発にとっては極めて異常なことで、これまでどれだけ機密性の高い軍事衛星の打ち上げであったとしても、打ち上げを行ったということや、コスモス番号と呼ばれる、コスモスという名前と通し番号からなる登録番号は公表されてきた。例えば先日、最新鋭の軍事偵察衛星ペルソナの2号機が打ち上げられた際、その形状や性能については明かされなかったものの、打ち上げ日時や場所、使われたロケット、そしてコスモス2486という名前に関しては公表された。

コスモス番号は通常、打ち上げが失敗した場合には付けられない。アメリカのレーダーは高度464km x 552km、傾斜角74.9度の軌道にコーンダルとストリラーの第3段と思われる物体を探知しており、軌道に乗ったことは確かではあるが、例えば衛星との通信が取れない、あるいは太陽電池パドルやアンテナなどの構造物の展開に失敗したといった理由などで、コスモス番号が与えられないまま衛星が放棄された可能性はある。

コーンダルが失敗したか否かを見極める要素の一つに、7月2日に打ち上げられる予定の測位衛星グロナスがある。グロナスもまた軍事衛星であるためコスモス番号が割り振られるが、もしそこでペルソナの2号機に割り振られたコスモス2486の次、すなわちコスモス2487という番号が与えられれば、今回のコーンダルの存在は事実上無かったということになる。逆にコスモス2488の番号が与えられれば、打ち上げは成功したものの、機密性の高い衛星の場合は最低限の情報すらも、まるでソビエト連邦時代のように公式には公開しないようになった、ということも考えられよう。

またあるいは単純に情報伝達を誤り、Webサイトなどへの公開が遅れているだけということもあるだろう。今回、ストリラーは実に10年ぶりの打ち上げであり、同時にNPOマシノストロィエニヤ社としても10年ぶりの宇宙ロケット打ち上げであり、可能性がないわけではない。

コーンダルはNPOマシノストロィエニヤ社が開発、製造した地球観測衛星で、光学センサーを搭載した型と、合成開口レーダー(SAR)を搭載した型の2種類がある。今回打ち上げられたのがどちらの型であるかは明かされていない。コーンダルは偵察衛星として運用される他、民間用の地球観測衛星として、他国へ輸出されることも検討されている。

ストリラーもまたNPOマシノストロィエニヤ社によって製造されたロケットで、UR-100N UTTHと呼ばれる大陸間弾道ミサイルから転用された。ストリラーとしての打ち上げは2003年12月5日に初めて行われ、このときはコーンダルの模擬機を軌道に投入したが、以来今回まで一度も打ち上げられてはいなかった。ストリラーとは「矢」を意味する。

 

■Спутник фоторазведки "Кондор" выведен на целевую околоземную орбиту