昨年12月8日に起きた、プロトンM/ブリーズMロケットによる通信衛星ヤマル402の打ち上げ失敗について、打ち上げを担当したインターナショナル・ローンチ・サービシーズ(ILS)社が組織した調査委員会は、12日と14日に調査結果を発表した。

報告書によれば、ブリーズMの3回目の燃焼開始時点で、エンジンの酸化剤(四酸化二窒素)を供給するターボ・ポンプが"悪条件"に晒されたためボール・ベアリングが損傷、その結果4回目の燃焼が予定より約4分早く終わってしまったとされている。その"悪条件"の詳細は14日に明かされ、液体の四酸化二窒素がエンジンに吸入される部分で、ガス状になった四酸化二窒素を通常より多く吸入してしまいターボ・ポンプの回転数が増加、さらに本来なら液体の四酸化二窒素によって冷却されるはずの熱が篭ってしまったことも重なり、ボール・ベアリングが破壊されたとしている。

またロシアのノーボスチ・コスモナフティキ誌のフォーラムに投稿された内部情報によれば、ブリーズMの3回目と4回目の燃焼の間の慣性飛行において、ミッションの都合上従来より長く日光に晒されることとなり、その熱で酸化剤の粘性が変化、その結果4回目の燃焼でキャビテーションが発生したことが失敗の原因とされている。

ILS社の発表によれば、今回の失敗による部品の設計変更などは必要ないとしており、ノーボスチ・コスモナフティキ誌の投稿によれば、ロケットの配管内の圧力を上げ、また熱を冷ますために慣性飛行の時間を延ばすといった対処法が考えられているという。

次のプロトンM/ブリーズMの打ち上げは3月27日に予定されているが、ILS社はすでに事故の再発防止に向けた作業を進めており、スケジュールに問題は無いとしている。

 

■ILS FROB Concludes the Yamal 402 Proton Launch Anomaly Investigation
http://www.ilslaunch.com/newsroom/news-releases/ils-frob-concludes-yamal-402-proton-launch-anomaly-investigation

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