H3ロケットで打ち上げられたキヤノン電子の小型光学衛星「CE-SAT-IE」が副光学系カメラで初撮影
【▲ 小型光学衛星「CE-SAT-IE」の副光学系として搭載されたキヤノン製のコンパクトデジタルカメラ「PowerShot S110」により撮影された画像(Credit: キヤノン電子)】

キヤノン電子株式会社は2024年2月22日、同年2月17日に「H3」ロケット試験機2号機で打ち上げられた小型光学衛星「CE-SAT-IE(シーイー・サット・ワンイー)」により初めて撮影された画像を公開しました。

【▲ 小型光学衛星「CE-SAT-IE」の副光学系として搭載されたキヤノン製のコンパクトデジタルカメラ「PowerShot S110」により撮影された画像(Credit: キヤノン電子)】
【▲ 小型光学衛星「CE-SAT-IE」の副光学系として搭載されたキヤノン製のコンパクトデジタルカメラ「PowerShot S110」により撮影された画像(Credit: キヤノン電子)】

こちらは副光学系カメラとしてCE-SAT-IEに搭載されているキヤノン製のコンパクトデジタルカメラ「PowerShot S110」で撮影されたカリフォルニア湾の様子です。カリフォルニア湾は2005年に「カリフォルニア湾の島々と自然保護区域」として世界自然遺産に登録されました。画像は約1000kmに及ぶカリフォルニア湾と保護地域群が地球の輪郭と共に写し出されています。

キヤノン電子が開発した小型光学衛星「CE-SAT-IE」は2024年2月17日、種子島宇宙センターから「H3」ロケット試験機2号機で打ち上げられました。発射16分43分後に衛星の分離に成功し、同日中に同社の赤城事業所内にある地上局と通信を確立しました。

CE-SAT-IEは大きさが50×50×80センチメートルで、質量は約70キログラムです。衛星に搭載されているカメラは「主光学系」と「副光学系」に分かれており、主光学系にはキヤノン電子が自社開発した口径40センチ反射望遠鏡とキヤノンの一眼カメラ「EOS R5」が搭載されています。主光学系の地上分解能は約80センチメートル、撮影範囲は6.5キロメートル×4.3キロメートルです。

【▲ キヤノン電子の小型光学衛星「CE-SAT-IE」(Credit: JAXA)】
【▲ キヤノン電子の小型光学衛星「CE-SAT-IE」(Credit: JAXA)】

キヤノン電子によると、CE-SAT-IEのミッションは主光学系機器を用いて、地表撮影や天体撮影を行うことと同社の開発した衛星バス技術実証にあるということです。また衛星にはJAXAが開発したレーザー反射体「Mt.FUJI」が取り付けられています。地上局から反射体へレーザーを照射することで正確な距離を測定し、衛星軌道を決定する実証実験を行います。

同社は今後、CE-SAT-IEは主光学系カメラによる軌道高度670kmから撮影を行い、地表解像度約80センチメートルの高解像度画像の取得を目指しています。取得された高解像度画像は防災活動などへの貢献が期待されています。

関連記事:H3ロケット試験機2号機のペイロードとは? ロケット性能確認用ペイロードと小型副衛星2機を搭載(2024年2月16日)

 

Source

  • キヤノン電子 - 超小型人工衛星「CE-SAT-IE(シーイー・サット・ワンイー)の副光学系カメラの初撮影に成功!
  • キヤノン電子 - 超小型人工衛星CE-SAT-IE軌道投入および交信に成功しました

文/出口隼詩 編集/sorae編集部