米スペースX社とNASA(アメリカ航空宇宙局)は現地時間12月6日午前11時17分、フロリダ州にあるケネディー宇宙センター第39A発射台からファルコン9ロケットを打ち上げました。ファルコン9ロケットには、新型のカーゴドラゴン宇宙船が搭載されました。今回のミッションは、CRS (Cargo Resupply Mission)-21と呼ばれ、国際宇宙ステーションに科学実験機器や滞在する宇宙飛行士への物資の提供などを行います。また、新型のカーゴドラゴンは、無事に宇宙ステーションへ到着し、自律ドッキングを成功させました。
■新型のカーゴドラゴン宇宙船とは?
新型のカーゴドラゴンは高さ8.1m、直径4mの無人宇宙船です。主な目的として国際宇宙ステーションへの物資の供給を行います。なお、スペースX社はISSへの物資輸送の契約をNASAと結んでいます。今回のミッションからの新たな契約に伴い、新型の無人宇宙船が使用されました。
新型のカーゴドラゴンは旧型と比べて、20%の容量アップになったほか、ISSでの滞在期間も以前の2倍である75日となりました。また、再利用も可能で、最大で5回使用できる能力があるということです。ISSへのドッキング方法も変更になり、旧式ではロボットアームで掴む方式でしたが、新型のカーゴドラゴンは自律式のドッキングとなります。ちなみに旧型は2020年3月の運用を持って引退しました。
新型のカーゴドラゴンは、有人宇宙飛行に使用される同社の宇宙船「クルードラゴン」と外見が非常に似ています。異なるのは、有人飛行の場合、緊急時に脱出できるように設置されているアボートシステムである「スーパードラコ」が取りはずされていることなどが挙げられます。
■どんな荷物が補給されるのか?
今回補給された物資は、科学機器や実験機器、ISSに滞在する乗組員の生活物資などです。中でも、最大かつ目玉となるのは、初の商用エアロック「Bishop airlock for Nanoracks」です。このエアロックは、現在日本の実験棟「きぼう」にあるエアロックよりも5倍の容量を持つことが特徴。主にキューブサットの放出などを行います。また、船外活動を行うための道具を保管する場所にもなるということです。
ちなみに、今回運ばれた生活物資の中には、2週間後にある「クリスマス」を祝うものが入っているということです。
Image Credit: NASA, SpaceX
Source: NASA, Space News
文/出口隼詩