アメリカ航空宇宙局(NASA)は8月15日、故障中のケプラー宇宙望遠鏡の復旧作業を断念すると発表した。
ケプラーは2012年7月と今年5月に、姿勢を制御するリアクション・ホイールと呼ばれる装置が相次ぎ故障し、精密な姿勢制御ができなくなっていた。ただ、完全に制御不能になっていたわけではなく、スラスター(小型のロケットエンジン)を吹かして、おおまかに制御することはでき、またポイント・レスト・ステート(PRM)と呼ばれる、最低限の姿勢制御を行うモードに入れられていた。
NASAは今年7月に、リアクション・ホイールを復旧するための作業を開始したが、成功できなかったという。
ケプラーははくちょう座とこと座の間の一角を正確に向いて、視野の中にある10万個以上の恒星の明るさを調べ続けてきた。恒星の周りに惑星が存在し、その惑星が地球から見て恒星の前を横切れば恒星はわずかに暗くなる。この「トランジット」と呼ばれる現象を利用してケプラーは系外惑星の候補を探してきたが、正確な姿勢制御ができなければ捜索は続行できない。
2009年3月6日にデルタ2ロケットによって打ち上げられたケプラーは3年半の主要ミッションを終えて、2012年11月から延長観測ミッションに入っていた。これまで多くの系外惑星を発見しており、また、依然として未解析のデータが多いので、たとえケプラーが軌道上での任務を終えたとしても新発見のニュースは数年間途切れることがなさそうだ。
NASAは今後、故障したケプラー宇宙望遠鏡で実行できる科学研究を検討するとしている。
■NASA Ends Attempts to Fully Recover Kepler Spacecraft, Potential New Missions Considered
http://www.nasa.gov/content/nasa-ends-attempts-to-fully-recover-kepler-spacecraft-potential-new-missions-considered/