国際宇宙ステーション(ISS)で7月16日、スペース・デブリ(宇宙ゴミ)が接近し、万が一衝突した際に備えて、滞在中の宇宙飛行士がソユーズ宇宙船に退避するという出来事が発生した。

米航空宇宙局(NASA)によると、このデブリは米中部夏時間2015年7月16日7時1分(日本時間2015年7月16日21時1分)にISSに最接近した。事前の予測では衝突する危険性もあったことから、ISSに滞在しているゲナディ・パダルカ宇宙飛行士、ミカエル・コニエンコ飛行士、スコット・ケリー飛行士の3人は、係留してあるソユーズTMA-16M宇宙船へ退避した。

その後、デブリは衝突することなく無事に通過したため、宇宙飛行士らは通常の作業に戻っている。

NASAによると、ISSの歴史上、デブリの接近によって宇宙飛行士が退避する事態となったのは、今回で4度目であったという。退避時にはソユーズのハッチも閉めることになっており、万が一ISSにデブリが衝突した場合には、掛け金を掛け、数十分以内にISSから脱出し、地球に帰還できるようになっている。

なお、ロシアのタス通信によると、今回接近したデブリは、1979年にソヴィエト連邦のプレセーツク宇宙基地から打ち上げられ、現在はすでに運用を終えている気象衛星「ミチオール2」の破片であったという。またNASASpaceflightによると、より正確には1979年10月31日に打ち上げられた「ミチオール2」の5号機の破片であったという。

米戦略軍(USSTRATCOM) 宇宙統合機能構成部隊(JFCC SPACE) 統合宇宙運用センター(JSpOC)の観測によると、現時点で「ミチオール2」5号機から、細かな破片が合計9個発生しており、高度800km前後、軌道傾斜角100度前後の軌道を回っていることがわかっている。今回ISSに接近したのはそのうちの1つで、「オブジェクト36912」という名前で呼ばれている破片であったとされる。

 

Source

  • NASA - Mission Control Gives All Clear of Debris; Crew Resuming Normal Operations | Space Station