米スペースX社は6月28日に、ケープ・カナヴェラル空軍スペーションから、「ドラゴン」補給船運用7号機を搭載した「ファルコン9」ロケットの打ち上げを実施する。また通算3度目となる、ロケットの第1段機体を海上のプラットフォームに着地させて回収し、再使用する試験にも挑む。
打ち上げ日時は東部夏時間2015年6月28日10時21分(日本時間2015年6月28日23時21分)に設定されている。ISSとの軌道の関係で、打ち上げが可能なタイミングはこの1秒しかなく、わずかでも遅れる場合は、別の日に延期となる。
打ち上げが行われるケープ・カナヴェラル空軍ステーションを管轄する、パトリック空軍基地発行の気象情報によると、当日の打ち上げ時間帯の天候は90%の確率で打ち上げに適した天気になると予報されている。
すでに現地時間6月26日には、ロケットの第1段ロケット・エンジンのスタティック・ファイア・テストも完了している。これは射場において、打ち上げまでの手順を確認すると共に、ロケット・エンジンを少しだけ噴射し、エンジンや射場設備の状態を確認するためのもので、スペースX社のロケットにとって打ち上げ前の恒例となっている。
ドラゴン補給船運用7号機には、国際宇宙ステーション(ISS)に向けた、約1814kgの補給物資が搭載されている。予定通り28日に打ち上げられれば、30日にISSに到着する。
また今回の打ち上げでは、通算3回目となる、ロケットの第1段機体を海上に浮かべた船の上に着地させて回収し、再使用する試験が行われる。同様の試験は今年1月と4月にも行われているが、共に船の真上に降りることはできたものの、着地には失敗し、機体は破壊されている。1月の失敗は、機体を安定させるためのフィンを動かす作動液の搭載量が不十分であったことが原因であり、また4月の失敗はエンジンの推力を制御するためのバルブの問題があったとされており、その都度改良が施されてきている。
従来の試験では「Just Read The Instructions」と名付けられた船が使用されていたが、今回の試験では新しい「Of Course I Still Love You」が使用される。スペースX社は、船を変更した理由については明らかにしていない。
すでに現地時間27日には船は出港しており、ケープ・カナヴェラル空軍ステーションから北東に約321kmの海上で待機する。
予定通りに行けば、打ち上げから約9分後に、第1段が船の上に降り立つ予定だ。
スペースX社ではロケットを旅客機のように再使用することで、打ち上げ費用を劇的に引き下げることを目指しており、まずはロケットの第1段機体を再使用することを計画している。その前段階として、昨年中にはロケットの第1段を大西洋上に着水させる試験を行い、続いて船の上に着地させる試験へと移行している。
ロケットを再使用すること自体は不可能ではないものの、それによって打ち上げ費用が本当に劇的に下がるのかということについては懐疑的な声も多い。しかし実現すれば宇宙輸送に革命が起こることから、多くの期待が寄せられている。
スペースX社では、あくまで主目的はドラゴン補給船を打ち上げることにあり、着地や再使用は試験として位置付けている。たとえば船での回収に成功したとしても、その機体が次の打ち上げで使用できるか、そしてそれにより打ち上げ価格が下げられるかはまた別の問題だからだ。
しかし、米国の軍事衛星などを打ち上げてきた基幹ロケットを運用しているユナイテッド・ローンチ・アライアンス社や、欧州のエアバス社などでは、スペースX社とやり方は違えど、ロケットの部分的再使用に向けた取り組みを始めるなど、大きな影響を与え始めている。
■PRESS KIT: SpaceX CRS-7 Mission | SpaceX
http://www.spacex.com/press/2015/06/25/press-kit-spacex-crs-7-mission