米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は米国時間5月20日、米空軍の無人宇宙往還機「X-37B」を搭載したアトラスVロケットの打ち上げに成功した。X-37Bのミッションは今回で4回目で、電気推進エンジンの試験や新素材の実験などが行われる。

ロケットは米東部夏時間2015年5月20日11時5分(日本時間2015年5月21日0時5分)、フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションの第41発射台(SLC-41)から離昇した。X-37Bは軍事衛星であるため、どのような飛行経路を通り、最終的にどの軌道に投入されたかは不明だが、ULA社や米空軍などは「打ち上げは成功した」と発表している。

X-37Bはボーイング社が開発した無人の宇宙往還機で、完全な自律飛行が可能で、またスペース・シャトルのように、整備した上で再使用ができるように造られている。これまでに同型機は2機が製造され、1号機が2回、2号機が1回の飛行を行っており、今回のミッションは2号機の2回目のミッションとなる。ミッション名はOTV-4と呼ばれている。

1号機の1回目のミッション(OTV-1)は2010年4月22日に打ち上げられ、同年12月3日に着陸した。2号機の1回目のミッション(OTV-2)は2011年3月5日に打ち上げられ、2012年6月16日に着陸している。そして2012年に12月11日から2014年10月17日にかけては、1号機の2回目のミッション(OTV-3)が行われている。X-37Bの軌道上での滞在可能期間は、カタログスペックでは270日とされているが、OTV-2では469日間、OTV-3ではさらに上回る674日間(約22か月間)にもわたって飛行し続けている。

X-37Bがこれまで宇宙空間で何を行っているのかは明らかにされておらず、新しい機器や素材の実験からといった説から、宇宙兵器の試験という説まで、さまざまな憶測がなされている。ただ、今回のOTV-4に関しては、電気推進システムの一種であるホール・スラスターの試験を行うことと、米航空宇宙局(NASA)による材料実験装置が搭載されることが発表されている。もちろん、それ以外にも何らかの試験や実験が計画されているはずである。

また今回、アトラスVの余剰能力を利用して、複数のキューブサット(超小型衛星)も搭載、X-37Bといっしょに打ち上げられた。打ち上げられたのは、ニアスペース・ローンチ社(米国)の「GEARRS 2」、惑星協会(米国)の「ライトセイル」、カリフォルニア・ポリテクニック州立大学(米国)の「オプティキューブ1」、「同2」、「同3」、米海軍兵学校の「USSラングリー」、エアロスペース・コーポレーション(米国)の「エアロキューブ8A」、「同8B」、そして米海軍兵学校衛星研究所の「ブリックサットP」と「PサットA」の10機。

この10機は、ウルトラサット(ULTRASat, Ultra Lightweight Technology and Research Auxiliary Satellite)と呼ばれるコンテナに収められ、アトラスVの第2段であるセントールのエンジンの付け根あたりにある、後部バルクヘッド・キャリアーと呼ばれる部分に搭載されて打ち上げられた。今後数日のうちに、各機が放出される予定となっている。

ULA社による次のロケットの打ち上げは、7月15日に予定されているアトラスVだ。この打ち上げでは、ケープ・カナヴェラル空軍ステーションの第41発射台から、米空軍のGPS IIF-10衛星を運ぶ。

 

■United Launch Alliance Successfully Launches X-37B Orbital Test Vehicle for the U.S. Air Force - United Launch Alliance
http://www.ulalaunch.com/ula-successfully-launches-afspc5.aspx