デルタIVヘビー・ロケットによる、米航空宇宙局(NASA)の新型宇宙船オリオンの初打ち上げまで1週間を切った。12月4日の打ち上げに向け、準備は最終段階に入っている。
オリオン試験機はすでにロケットの先端部に取り付けられており、現在はクルー・モジュール内の仕上げ作業として、船内に設置された生命維持設備などの機器の最終チェックが始まっているという。今回は無人での飛行となるが、宇宙飛行士が乗るクルー・モジュールは本番同様に造られており、宇宙空間の高い放射線や、温度環境の変化にどう影響するかなどが調べられる。
オリオンを載せたデルタIVヘビーは現在すでに、発射台の上に立った状態にあり、そこに覆いかぶさるようにサービス・タワーが設置され、その中で作業が行われている。このサービス・タワーは移動式で、離昇の8時間15分前に発射台から離れ、ロケットとオリオンが姿を現す予定だ。
打ち上げ日時は現時点で、米東部標準時2014年12月4日7時5分から9時44分(日本時間2014年12月4日21時5分から23時44分)の間に予定されている。
オリオンは現在、NASAとロッキード・マーティン社が開発中の宇宙船で、「NASAの宇宙船」としてはスペースシャトルの後継機にあたる。地球低軌道までにしか人を運べなかったスペースシャトルとは違い、オリオンはアポロ宇宙船のように月へ、そしてさらにその先の火星や小惑星へも人を運ぶことができる宇宙船として開発が進められている。
今回のミッションはEFT-1(Exploration Flight Test-1)と呼ばれており、無人のオリオン試験機をデルタIVヘビーに搭載し、高度約5,800kmにまで到達する楕円軌道へと打ち上げる。オリオンはそこから秒速約9kmで大気圏に再突入し、太平洋上に着水する。この試験により、オリオンの電子機器や耐熱システム、パラシュートなどが設計通り機能するかが確認される。ミッション時間は約4.5時間の予定だ。
EFT-1はクルー・モジュールの耐熱システムやパラシュートなどの機能確認が主目的であるため、サービス・モジュールや脱出システムは同じ質量で造られたダミーで、機能はしない。
このEFT-1が完了した後、得られたデータからさらにオリオンの開発が進められ、そして2018年11月に探査ミッション1(EM-1、Exploration Mission 1)が実施される予定となっている。EM-1でもオリオンは無人だが、打ち上げるロケットには、現在オリオンと並行して開発が行われている新型ロケットのスペース・ローンチ・システム(SLS)が使われる。EM-1では地球から月まで行き、月の裏側を回って地球に帰還するルート(自由帰還軌道)での飛行が行われ、オリオンの全システムと、SLSの能力が試験される。
EFT-1とEM-1が無事に完了すれば、いよいよ次はオリオンに実際に宇宙飛行士を乗せた、有人飛行が行われる予定となっている。
■Orion
https://blogs.nasa.gov/orion/