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こちらは、ベラ・ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡に取り付けられた試験用カメラ「ComCam」で観測した散光星雲「Sh 2-292」。いっかくじゅう座の方向、地球から約3700光年先にあります。

ベラ・ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡に取り付けられた試験用カメラ「ComCam」で観測した散光星雲「Sh 2-292」(Credit: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA; Image Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), D. de Martin & M. Zamani (NSF NOIRLab))
【▲ ベラ・ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡に取り付けられた試験用カメラ「ComCam」で観測した散光星雲「Sh 2-292」(Credit: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA; Image Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), D. de Martin & M. Zamani (NSF NOIRLab))】

NOIRLab(アメリカ国立光学・赤外天文学研究所)によると、いっかくじゅう座とおおいぬ座の境界付近にある3つの大きな星雲は、全体では翼を広げて飛ぶカモメのような姿に見えます。

その“カモメ”の頭部にあたるのが、カタログ番号「IC 2177」でも知られるSh 2-292です。海外では「Seagull Nebula(カモメ星雲)」、日本では「わし星雲」の愛称でも呼ばれています(※同じく「わし星雲」と呼ばれるへび座の「M16」とは別の天体です)。

若い星々が輝かせる“カモメの頭”

画像のあちこちに広がるピンク色は、水素ガスが光を放っている領域です。NOIRLabによると、ガスや塵(ダスト)の雲の中で生まれた星が強い紫外線を放ち、周囲の水素ガスを電離させて輝かせています。一方、画像の中央付近に広がる青いもやは、周囲にある別の若い星々の光を塵の粒子が反射することで生じています。

こうした幻想的な光景を作り出している星のひとつが、画像の中央左上に伸びている、暗くギザギザとした筋の先端で輝いています。この星は「HD 53367」と呼ばれる大質量の三重連星で、“カモメ”の頭で輝く目にあたります。

【▲ 動画:散光星雲「Sh 2-292」へズームイン(Credit: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA; Images and Videos: NOIRLab/NSF/AURA/E. Slawik/M. Zamani/ESA/Gaia/DPAC; Image Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), D. de Martin & M. Zamani (NSF NOIRLab); Motion graphics: J. Pinto)】

試験用カメラが写し出した鮮明な姿

Sh 2-292を観測したComCamは、シモニー・サーベイ望遠鏡の試験を行うために開発されたカメラです。今回の画像は、2024年10月から12月にかけての試験観測で取得されたデータを使って作成されています。

試験後のシモニー・サーベイ望遠鏡には32億画素のデジタルカメラ「LSSTカメラ」が取り付けられており、南天の空を10年かけて繰り返し観測するプロジェクト「LSST(Legacy Survey of Space and Time=時空間レガシーサーベイ)」が2026年6月から始まりました。

NOIRLabによると、LSSTのデータが蓄積されるまでは、今回の画像がこの領域を最も淡い光まで、最も鮮明に写し出した姿になるといいます。史上最大規模の「宇宙のタイムラプス映像」作成を目指すLSSTが描き出すであろう“カモメ”の姿も今から楽しみです。

冒頭の画像は、ComCamによる試験観測の開始から2年を記念して、NOIRLabから2026年10月22日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典