米航空宇宙局(NASA)は10月30日、オリオン宇宙船の試験機が完成したと発表した。12月4日の打ち上げに向けて、これからロケットへの搭載などの準備作業が控えている。

現在オリオンは、宇宙飛行士が登場するクルー・モジュールと、太陽電池パドルや生命維持システム、スラスターなどが集まるサービス・モジュール、そして緊急時の脱出システムなどが結合された状態にある。ただし、今回のミッションは無人での試験飛行で、またクルー・モジュールの耐熱システムやパラシュートなどの機能確認が主目的であるため、サービス・モジュールや脱出システムは同じ質量で造られたダミーで、機能はしない。

一方、このオリオンを打ち上げるデルタIVヘビー・ロケットは、すでに発射台に立てられ、準備作業が進められている。このあとオリオンも発射台へと運ばれ、11月10日にロケットの頭に装着される予定だ。

また11月6日には、ケネディ宇宙センターで飛行前の会見が開かれるとのことだ。開催は米東部標準時11月6日11時(日本時間11月7日1時)から予定されている。また会見の模様はNASA TVでも放送されるとのことだ。

打ち上げは現時点で、米東部標準時2014年12月4日7時5分から9時35分(日本時間2014年12月4日21時5分から23時35分)の間に予定されている。このミッションはEFT-1(Exploration Flight Test-1)と呼ばれており、オリオン試験機を高度約5,800kmにまで到達する楕円軌道まで打ち上げる。オリオンはそこから秒速約9kmで大気圏に再突入し、太平洋上に着水する。この試験により、オリオンの電子機器や耐熱システム、パラシュートなどが設計通り機能するかが確認される。

このEFT-1が完了した後、得られたデータからさらにオリオンの開発が進められ、そして2018年11月に探査ミッション1(EM-1、Exploration Mission 1)が実施される予定となっている。EM-1でもオリオンは無人だが、打ち上げるロケットには、現在オリオンと並行して開発が行われている新型ロケットのスペース・ローンチ・システム(SLS)が使われる。EM-1では地球から月まで行き、月の裏側を回って地球に帰還するルート(自由帰還軌道)での飛行が行われ、オリオンの全システムと、SLSの能力が試験される。

EFT-1とEM-1が無事に完了すれば、いよいよ次はオリオンに実際に宇宙飛行士を乗せた、有人飛行が行われる予定となっている。

 

■NASA’s Orion Spacecraft Complete; Media Invited to Learn More about Its First Flight | NASA
http://www.nasa.gov/press/2014/october/nasa-s-orion-spacecraft-complete-media-invited-to-learn-more-about-its-first/index.html#.VFN61Mm3JtY