広告
広告

トリエステ大学とINAF(イタリア国立天体物理学研究所)トリエステ天文台に所属するNicola Pietro Gentile Fusillo氏を筆頭とする研究チームは、白色矮星「WD J1328-1450」を取り巻く円盤構造を観測した研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「Nature Astronomy」に掲載されています。

二重構造の円盤が見つかった白色矮星「WD J1328-1450」の想像図(Credit: ESO/L. Calçada)
【▲ 二重構造の円盤が見つかった白色矮星「WD J1328-1450」の想像図(Credit: ESO/L. Calçada)】

スペクトルに現れた「4つの山」

白色矮星は、太陽のような比較的軽い恒星が寿命を迎えた後、かつての中心核(コア)だけが残った高密度な天体です。白色矮星の周りでは、破壊された惑星などの破片が集まった「デブリ円盤」が見つかることがあり、その一部はガスも含んでいます。

研究チームは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)の「VLT(超大型望遠鏡)」を使用して、地球から約1600光年先にあるWD J1328-1450の分光観測を行い、この白色矮星を取り巻く円盤を調査しました。

電磁波の波長ごとの強さの分布であるスペクトルを得る分光観測を行うと、さまざまな原子や分子が放つ特定の波長の光「輝線」を捉えることができます。回転する円盤から放たれた光の場合、ドップラー効果によって、地球へ近づく側からの光は波長が短い方へ、遠ざかる側からの光は波長が長い方へズレます。輝線がどれくらいズレているのかを通じて、円盤の動きを知ることができるのです。

研究チームによると、白色矮星を囲む既知の円盤のうちガスを含む21例では、輝線が2つの“山”に分かれていました。ところがWD J1328-1450では、カルシウムと酸素の輝線が4つの山に分かれていることが明らかになったといいます。

単一構造の円盤(左)と二重構造の円盤(右)を観測した際のスペクトルに生じる輝線の“山”を比較した図。白色矮星「WD J1328-1450」では山が4つあり、円盤は二重構造になっていることがわかった(Credit: ESO/L. Calçada)
【▲ 単一構造の円盤(左)と二重構造の円盤(右)を観測した際のスペクトルに生じる輝線の“山”を比較した図。白色矮星「WD J1328-1450」では山が4つあり、円盤は二重構造になっていることがわかった(Credit: ESO/L. Calçada)】

微惑星が二重の円盤を維持している可能性

研究チームは、円盤に隙間があって内側と外側の2つに分かれているとすれば、スペクトルに生じた4つの山を再現できると考えています。ただし、二重構造の円盤が維持されるには、2つの限られた軌道において安定的にガスが供給されるような状況が必要になるといいます。

想定されるガスの供給源として、円盤の中に固体の天体が存在しており、塵(ダスト)と相互作用することでガスが生成・維持されている可能性が最も高いと研究チームは提案しています。破壊されずに生き延び得る天体の最大サイズは、内側が典型的な小惑星ほど、外側が地球の月くらいと推定されています(太陽系の岩石質の天体における典型的な強度などを持つと仮定した場合)。

今回の結果は、恒星が寿命を迎えて赤色巨星から白色矮星へと進化する激動の過程を生き延びた岩石質の天体が、白色矮星周囲の円盤に含まれるガスを塵との相互作用によって生じさせている可能性を支持するものとなります。WD J1328-1450を取り囲む二重構造の円盤は、恒星の死に直面した惑星系を理解する上での手がかりになりそうです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

関連記事

参考文献・出典