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インド理科大学院(IISc)のZenia Zuraiq氏を筆頭とする研究チームは、磁場を持つ恒星が白色矮星へと進化し、さらに成長していく過程をシミュレーションで追跡した結果、白色矮星が従来考えられてきた質量の上限を大きく超え得ることを示した研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されています。

白色矮星が関わる「Ia型超新星」の想像図(Credit: ESO)
【▲ 白色矮星が関わる「Ia型超新星」の想像図(Credit: ESO)】

質量の上限と「明るすぎる」超新星の謎

白色矮星とは、太陽のような比較的軽い恒星が核融合の燃料を使い果たし、外層からガスや塵(ダスト)を放出した後に残る、地球ほどの大きさの非常に高密度な天体です。その質量には上限があり、ゆっくり自転していて磁場も弱い白色矮星の場合、太陽の約1.4倍とされています。

この上限の質量は「チャンドラセカール限界」と呼ばれます。連星をなす相手の星からガスを受け取るなどして白色矮星の質量がこの上限に近づくと、中心部で炭素の核融合が始まって白色矮星が吹き飛ぶ「Ia型超新星」と呼ばれる爆発が起こると考えられています。

チャンドラセカール限界という上限があることから、Ia型超新星は爆発時の質量がほぼ一定であり、本来の明るさはほぼそろっていると考えられています。本来の明るさがわかる天体や現象は、見かけの明るさと比較することで距離を割り出すことができます。Ia型超新星もそのひとつであり、宇宙での距離を測るための「標準光源」として、宇宙の膨張を調べる研究などに活用されてきました。

ところが、Ia型超新星のなかには、典型的なものよりも明るすぎるものが見つかっています。研究チームによると、こうした超新星の中には、爆発した白色矮星の質量がチャンドラセカール限界を大きく超えた太陽の2.8倍にも達していたと推定されるものもあるといいます。

ガスを取り込むほど強まる磁場

研究チームは今回、恒星の進化をモデル化するプログラムに磁場の効果と白色矮星の冷却過程を組み込み、水素の核融合反応で輝く段階から白色矮星へと進化するまでの様子を追跡するとともに、連星をなす星からガスが降り積もる状況をシミュレーションしました。

計算の結果、磁場は白色矮星の誕生時には星の構造にほとんど影響しないほど弱かったものの、ガスを取り込むにつれて白色矮星の質量が増し、密度が高まっていくにつれて強まり、重要な役割を果たすようになる可能性が示されました。

たとえば、太陽の1.02倍の質量を持ち、炭素と酸素でできた白色矮星にガスが降り積もるモデルでは、磁場がない場合の上限はチャンドラセカール限界である太陽の約1.4倍だったのに対し、磁場を持つ場合は約2.4倍に達したといいます。磁場の分布の様子などに左右されるものの、強まった磁場が内部で新たな圧力を生じさせることで、チャンドラセカール限界を上回る質量をも支えられるようになるというのです。

磁場を持つ重い白色矮星は見つかるか

今回の成果について研究チームは、このような磁場を持つ重い白色矮星を観測で探索する動機になると述べています。チャンドラセカール質量を上回るような白色矮星が実際に見つかれば、明るすぎるIa型超新星の起源を解明するだけでなく、標準光源としてのIa型超新星の理解を深めることにもつながることが期待されます。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典