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エクス=マルセイユ大学のTom Briand氏を筆頭とする研究チームは、天王星と海王星の大気の奥深くに含まれる炭素と酸素の推定量をもとに、両惑星を形づくった材料がどこでできたのかを調べた研究成果を発表しました。

地球と金星、天王星と海王星のように、大きさや質量などがよく似た2つの惑星は“双子”と表現されることがあります。しかし研究チームによると、天王星と海王星は異なる過程を経て形成された可能性があり、海王星は今よりも太陽に近い場所から移動してきたのかもしれないといいます。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載されています。

ハッブル(Hubble)宇宙望遠鏡が観測した天王星(左)と海王星(右)(Credit: NASA, ESA, Amy Simon (NASA-GSFC), Michael Wong (UC Berkeley), Andrew Hsu (UC Berkeley))
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した天王星(左)と海王星(右)(Credit: NASA, ESA, Amy Simon (NASA-GSFC), Michael Wong (UC Berkeley), Andrew Hsu (UC Berkeley))】

炭素と酸素の量から“出身地”がわかる?

地球から遠く離れた天王星と海王星は観測が難しく、材料を知る手がかりとなる大気深部の組成はよくわかっていません。大気上層で観測される一酸化炭素の量を利用する方法を使い、研究チームが大気深部に存在する酸素の量を推定したところ、海王星のほうが酸素に富んでいる可能性が示されたといいます。

そこで研究チームは今回、推定される酸素と炭素の量をもとに、天王星と海王星におけるC/O比(炭素と酸素の比)を求めました。

惑星は、誕生して間もない若い星を取り囲む、ガスと塵(ダスト)でできた原始惑星系円盤で形成されると考えられています。この円盤は水素ガスをはじめ様々な物質でできていますが、研究チームが特に注目したのは、水分子、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素といった揮発しやすい物質です。

これらの物質は、星に近い場所では気体として、星から遠い場所では固体(氷)として存在します。固体になるかどうかの温度は物質ごとに違うため、星から離れるにつれて、水・二酸化炭素・メタン・一酸化炭素の順番で凍っていきます。ある物質が気体と固体のどちらで存在するのかが変わる場所は「スノーライン(雪線)」と呼ばれており、その位置(星からの距離)は物質ごとに異なります。

ここで注目されるのが、これらの分子に含まれる炭素と酸素です。水は炭素を含みませんが、二酸化炭素、メタン、一酸化炭素には炭素が含まれています。また、メタンは酸素を含みませんが、水、二酸化炭素、一酸化炭素には含まれています。

つまり、星から近い場所と遠い場所のどこで形成されたのか、別の言い方をすればどの物質のスノーラインの内側や外側で形成されたのかによって、惑星に含まれる炭素と酸素のバランスが変わることになります。研究チームがC/O比を求めることにしたのは、若き太陽を取り囲んでいた円盤のどこで天王星と海王星が形成されたのかを、炭素と酸素のバランスを利用して推定するためなのです。

海王星が大移動してきた可能性を支持する結果に

研究チームがそれぞれのC/O比を分析した結果、天王星は現在の位置で形成されたと推定値の範囲内で概ね説明できる一方で、海王星は今よりも太陽に近い場所で形成された後に現在の軌道へ移動してきたとする考えを支持する結果が得られたといいます。

ただし、今回の研究では天王星と海王星の大気の循環が同じように振る舞うことなどが前提となっているため、将来の直接探査ミッションで得られるデータで検証することが欠かせません。

2つの惑星の形成過程の違いを解明することは、太陽系の外で数多く見つかっている同じくらいのサイズの太陽系外惑星がどのようにして誕生したのかを理解することにもつながると期待されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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