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こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した星形成領域「N44」。かじき座の方向、地球から約16万光年先にあります。

ハッブル(Hubble)宇宙望遠鏡が観測した星形成領域「N44」(Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Gouliermis)
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した星形成領域「N44」(Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Gouliermis)】

若い星団が形成した巨大な空洞

正式には「LHA 120-N44」と呼ばれるN44は、天の川銀河の衛星銀河(伴銀河)のひとつ「大マゼラン雲(大マゼラン銀河)」にあります。

画像の中央、まるで大きく開いた口のように見える暗い領域は「スーパーバブル」と呼ばれる巨大な空洞です。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、スーパーバブルは約210×140光年にわたって広がっています。

スーパーバブルを形成したのは、空洞の中心で輝く散開星団を構成する若い大質量星たちです。大質量星から吹き出す強力な恒星風や、寿命を迎えた時に起こす超新星爆発によって、星の材料となるガスの大部分が周囲へ向かって吹き飛ばされることで、このように巨大な空洞が形成されたと考えられています。

また、画像右上の小さな泡状の構造は「N44F」と呼ばれています。これは単一の大質量星から放たれた強烈な恒星風によって形成されたと考えられています。

次世代の星を育むガスの殻

スーパーバブルの周囲には、複雑に入り組んだ淡い霧のようなものが広がっています。これは、大質量星の活動によって周囲へ押しやられた高密度なガスが形作ったもので、空洞を取り囲む殻のような構造をしています。

ハッブル宇宙望遠鏡の観測によって、この殻の中では新しい星が誕生しつつあることがわかりました。N44の手前にある星も含め約50万個の恒星をカタログ化した研究では、そのうち約3万個が前主系列星(中心で水素の核融合反応が始まる前の段階にある若い星)とされています。

大マゼラン雲は、水素やヘリウムよりも重い元素が乏しいという点で、初期宇宙の銀河と似た環境にあります。ハッブル宇宙望遠鏡によるN44の観測を通じて、そのような環境における星形成についての新たな知見が得られたということです。

天の川銀河のすぐそばにある銀河での星形成を学ぶことが、宇宙の歴史を通じた星形成を理解する手がかりになっているのです。

冒頭の画像はESA/Hubbleから2026年9月3日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典