株式会社ispaceは2025年10月23日、インドの宇宙開発スタートアップOrbitAID Aerospaceと覚書を締結したと発表しました。
OrbitAIDの推進剤補給インターフェイスをispaceの月着陸船に搭載へ


OrbitAIDはスペースデブリ(宇宙ゴミ)の削減や衛星のミッション期間の延長・運用の柔軟性向上を実現するために、宇宙空間での推進剤補給技術の開発を進めている企業です。
同社は推進剤補給を行うためのインターフェイス「SIDRP(Standard Interface for Docking and Refueling Port)」を独自開発。2024年12月と2025年6月にはアメリカ・フロリダ州で行われた航空機の放物線飛行による無重力フライトにて、SIDRPの無重力環境下での技術実証を行いました。
また、スペースデブリ対策と持続可能な宇宙環境の促進を目指すオーストラリアとインドの共同ミッション「Space MAITRI」(2026年打ち上げ予定)では、オーストラリア企業Space Machines Companyの宇宙機「Optimus Viper」にSIDRPが搭載され、軌道上で技術実証が行われる予定です。OrbitAIDによれば、インドが開発した商用のドッキング・補給インターフェイスとして初の事例となります。
今回交わされた覚書についてispaceは、将来の月着陸船にOrbitAIDのSIDRPを統合し、月ミッションにおけるドッキングおよび軌道上での推進剤補給実現を目指すと述べています。
寿命延長サービスは“外付け”から“推進剤補給”へ
推進剤さえあればまだ機能する衛星の寿命延長サービスはすでに開始されていて、アメリカ企業Northrop Grumman傘下のSpace Logisticsはいわば「外付けエンジン」となる宇宙機を静止衛星とドッキングして軌道を維持するサービスを提供しています。
専用のインターフェイスを介した推進剤補給サービスも実用化が進められています。例として、株式会社アストロスケールのアメリカ子会社Astroscale U.S.が、開発中の宇宙機を用いてUSSF=アメリカ宇宙軍の静止軌道上の衛星に対する推進剤補給を2回実施する予定と発表されています。推進剤補給インターフェイスにはアメリカ企業Orbit Fabが開発したものが採用されています。

民間企業の活動範囲が地球低軌道からシスルナ(地球と月の間の空間)や月へと広がるにつれて、推進剤補給や修理といった軌道上サービスの需要は今後も拡大していくことが予想されます。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
関連記事
- アストロスケールの米国子会社が米軍の衛星に推進剤補給を実施へ 2026年夏に打ち上げ予定
- NASA天文衛星「スウィフト」2026年に軌道上昇実施へ 米企業と契約締結
- 遠ざかる通信衛星 寿命延長サービスを終えた宇宙機が撮影した“ほろ苦い別れ”の瞬間
参考文献・出典
- ispace - ispace、印OrbitAID Aerospace社と持続可能な月面インフラ構築に向けた 覚書を締結
- OrbitAID (ウェブサイト)
- OrbitAID (LinkedIn)
- Space Machines Company (ウェブサイト)
- Space Machines Company (LinkedIn)










