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2月20日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさ2プロジェクトチームは記者説明会を開催。昨年2019年11月に小惑星「リュウグウ」を出発した小惑星探査機「はやぶさ2」について、帰還に欠かせないイオンエンジンを中心とした現状が語られました。

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■帰路の第1期運転を終えたイオンエンジンは4基すべてが順調

小惑星探査機「はやぶさ2」の想像図(Credit: DLR)

昨年11月13日にリュウグウを出発したはやぶさ2は、同年12月3日から地球帰還に向けた第1期イオンエンジン運転を開始しました。その後は今年2020年2月5日にイオンエンジンを一旦停止。軌道の精密測定を実施した上で、2月18日からは軌道の微修正を実行。記者説明会直前となる2月20日午前をもって、第1期イオンエンジン運転を完了しました。

希ガスの一種であるキセノン(Xe)をイオン化して噴射するイオンエンジンは、地球とリュウグウを往復するためのエンジンなので、リュウグウに滞在していたおよそ1年半のあいだは一度も使われていません。イオンエンジンを担当するJAXAの細田聡史氏によると、リュウグウのサンプルを採取した際に微粒子が入り込んだ可能性もあり、運転再開時の影響も懸念されていたようですが、4基搭載されているイオンエンジンはすべて正常で、帰路の第1期イオンエンジン運転は問題なく終了したことが発表されています。

帰路の前半となる第1期のイオンエンジン運転を終えたはやぶさ2ですが、キセノンはまだ60%弱が残っており、カプセル分離後の延長ミッション実施にも期待が高まります。今後は今年の5月~9月にかけて第2期イオンエンジン運転を実施し、軌道を確認した上で10月以降地球帰還に向けた精密誘導(イオンエンジンではなく化学エンジンを使用)が実施されます。

サンプルが入っていると期待される再突入カプセルは今年11月から12月にかけて大気圏に突入し、初代「はやぶさ」のカプセルと同じ、オーストラリアのウーメラにて回収される予定です。再突入カプセルを分離したあとのはやぶさ2は大気圏に突入せず地球を離脱し、他の天体を観測する延長ミッションを実施することが検討されています。

 

Image Credit: JAXA
Source: はやぶさ2プロジェクト
文/松村武宏

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