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【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:ESA/Hubble)

アート作品? それとも、長時間露光によるライトペインティングの写真……?

この画像は、ESA/Hubbleの「今週の画像(Picture of the Week)」として、2014年1月27日付で公開されたものです。一見すると宇宙に関連する画像とは思えないこちらの一枚は、実はハッブル宇宙望遠鏡が実際に撮影した画像です。

ハッブル宇宙望遠鏡の追尾エラーにより撮影された画像。球状星団NGC 288の星々が、色鮮やかな赤や青の曲線状の軌跡として写り、まるで抽象画のように見える。(Credit: NASA, ESA; Acknowledgements: A. Sarajedini/University of Florida, Judy Schmidt)
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の追尾エラーにより撮影された画像(Credit: NASA, ESA; Acknowledgements: A. Sarajedini/University of Florida, Judy Schmidt)】

ハッブル宇宙望遠鏡は、観測中に望遠鏡の向きがミリ秒単位でずれないよう「精密誘導センサー(FGS:Fine Guidance Sensors)」という仕組みを備えています。まずジャイロスコープで望遠鏡の姿勢を測り、装置内部のホイールを回転させて姿勢を修正します。さらにFGSが、視界の中にある特定の星(ガイド星)を基準点としてロックオンし、そこを正確に追い続けることで、長時間の露光でも星を「点」としてシャープに捉え続けることができるのです。

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ところが、この画像が撮影された際には、FGSがロックオンした星に予期せぬ問題がありました。基準とした星が、実は「連星(2つの星が互いに回り合っている天体)」であったとみられています。連星は共通の重心のまわりを揺れ動くため、基準点としては不安定です。そのわずかな揺れに反応して望遠鏡の向きが微細に動き続けた結果、本来は点として写るはずの星々が、色鮮やかな曲線の軌跡として記録されました。

光の筋の正体は?

目を引く鮮やかな光の筋。その正体は、「ちょうこくしつ座」の方向約2万9000光年先にある球状星団「NGC 288」を構成する星々そのものです。本来は点として写るはずの星が、望遠鏡の揺れによって引き延ばされ、独特な「トレイル(移動の軌跡)」を描き出しました。

画面に赤、黄、青とさまざまな色の光の筋が混ざっているのは、星それぞれの「表面温度」の違いを反映しているからです。

  • 青〜白色の筋: 表面温度が非常に高い星(太陽よりずっと高温な星)
  •  黄色の筋: 表面温度が中程度の星(太陽と同じくらいの温度の星)
  •  赤い筋: 表面温度が低い星(赤色巨星などの年老いた星)

NGC 288は約130億年前に誕生した非常に古い球状星団であるため、特に温度の低い「赤い星」が多く、それが画面を彩る目立つ赤い筋となっています。ハッブルが意図せず描いたこの「光のスペクトル」は、図らずも星団内にどのような温度の星が分布しているのかを可視化する、科学的なアートとなったのです。

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)はこの画像について、「ハッブルが失敗したときでさえ、私たちの想像力を刺激してくれる」とコメントしています。

 

編集/sorae編集部

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参考文献・出典

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