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こちらは、VLT(超大型望遠鏡)とハッブル宇宙望遠鏡で観測した「Terzan 5(ターザン5)」。いて座の方向、地球から約2万2000光年先にあります。

VLT(超大型望遠鏡)とハッブル(Hubble)宇宙望遠鏡で観測した「Terzan 5(ターザン5)」(Credit: ESO/F. Ferraro)
【▲ VLT(超大型望遠鏡)とハッブル宇宙望遠鏡で観測した「Terzan 5(ターザン5)」(Credit: ESO/F. Ferraro)】

Terzan 5があるのは、天の川銀河の中心部にある膨らみのような構造「銀河バルジ」の中。銀河バルジは恒星が密集し、ガスや塵(ダスト)の雲が厚く取り巻いている領域です。画像に向かって左寄りの、星々がひしめき合うように輝いている部分が、Terzan 5の中心部にあたります。

球状星団とは異なる特徴が明らかに

1968年に天文学者のAgop Terzan氏が発見し、その名を冠したTerzan 5は、発見以来「球状星団」に分類されてきました。球状星団とは、数万個以上の恒星が重力によって互いに結びつき、球状に集まっている天体のことです。

NASA(アメリカ航空宇宙局)によると、一般的に球状星団は古い星の集団をひとつしか持ちません。ところが2009年以降の研究を通じて、Terzan 5には鉄の含有量が異なる星の集団が少なくとも2つ存在することがわかってきました。冒頭の画像とともに2016年に発表された研究では、主要な2つの集団の年齢に約70億年もの開きがあることを示す有力な証拠が報告されました。

現在の銀河形成の理論では、天の川銀河の初期のバルジについて、ガスと星からなる巨大な塊どうしが相互作用し、合体する過程で形成されたと考えられています。ESOによると、Terzan 5の性質は銀河バルジそのものの星々とよく似ており、天の川銀河の最も初期の構成要素のひとつが残った天体かもしれないといいます。

さらに若い星々の兆候も?

2026年6月には、ハッブル宇宙望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データを用いたTerzan 5の研究成果が発表されました。

この研究の論文によると、Terzan 5を構成する主要な2つの集団の年齢が約125億年と約47億年であり、2016年の研究よりも精密に求められました。また、約38億年前に形成された集団の兆候と、約25億年前まで星形成が続いていたことを示唆する若い星々も見つかったと報告されています。

こうした最新の観測結果は、Terzan 5が「バルジ形成時の残骸」と呼ばれる新たなカテゴリーの天体だとする見方を裏付けるものです。球状星団のように見えるTerzan 5は、天の川銀河の中心部が形作られた時代の様子を今に伝える、貴重な手がかりと言えそうです。

冒頭の画像はESOから2016年9月7日付で公開されたもので、ESOの公式SNSアカウントが2026年10月28日に改めて紹介しています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典