
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した球状星団「M4(Messier 4)」。さそり座の方向、約6000光年先にあります。

宇宙初期の130億年前から存在する星々
M4は、数十万個以上の星が重力によって球状に密集した天体であり、地球に最も近い球状星団のひとつとして知られています。
NASA(アメリカ航空宇宙局)によれば、M4に属する星々の年齢は約130億年と推定されています。これは約138億年とされる宇宙そのものの年齢に迫るほどの古さであり、宇宙の歴史を今に伝える「星の化石」と呼べる存在です。
ハッブル宇宙望遠鏡の観測データをもとに、M4の内部には最大で4万個ほどの白色矮星が存在すると予測されています。白色矮星は、太陽のように超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星が進化した天体です。典型的な白色矮星は地球と同じくらいの直径ですが、質量は太陽の6割程度もあり、とても密度が高いという特徴があります。
晩年を迎えた比較的軽い恒星は、まず外層が大きく膨張した赤色巨星に進化して、周囲の空間へとガスや塵を放出するようになります。こうして外層を失った恒星は、中心核だけが残って白色矮星に進化すると考えられています。内部で核融合反応が起こらない白色矮星は時間が経つにつれて冷えていくため、天文学者たちは白色矮星を手がかりにして星団の年齢を正確に推定しようとしています。
中心部に中間質量ブラックホールが存在する証拠も
また、2023年に発表された研究では、M4の中心部に中間質量ブラックホールが存在する強力な証拠が示されました。中間質量ブラックホールとは、大質量星が恒星としての死を迎える時に形成される恒星質量ブラックホール(質量は太陽の数倍~数十倍)や、さまざまな銀河の中心に存在するとされる超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール、質量は太陽の数十万倍~数十億倍)の中間の質量を持つブラックホールです。
ハッブル宇宙望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を運用するSTScI(宇宙望遠鏡科学研究所)などの研究チームによると、M4の中心の極めてコンパクトな領域に太陽の約800倍の質量が集中していることが判明。研究チームはこの質量について、単一の中間質量ブラックホールである可能性が高いと考えています。
この研究ではハッブル宇宙望遠鏡で12年間にわたって取得・蓄積した観測データと、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の宇宙望遠鏡「Gaia(ガイア)」の観測データを組み合わせることで、M4の中心にある星々の動きが詳細に分析されたということです。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」と「WFC3(広視野カメラ3)」で取得したデータを使って作成されたもので、NASAの関連SNSアカウントが2026年3月19日に紹介しています。
At 5,500 light-years away, Messier 4 is the closest globular cluster to Earth. Globular clusters are spherical groups of stars, held together by gravity.
This image spans the wide range of wavelengths that Hubble’s instruments are sensitive to: https://t.co/oJ9nVPX4j9 pic.twitter.com/uhKScUvHm4
— Hubble (@NASAHubble) March 18, 2026
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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