アリアンスペース社は6月25日、多数の人工衛星を使った世界規模の高速インターネット網を計画するワンウェブ(OneWeb)社から、衛星の打ち上げを大量に受注したと発表した。
ワンウェブ計画は、高度800kmと950kmの軌道を周る約700機もの衛星からなるシステムで、全世界に有線接続と同程度の高速で高品質なインターネット接続を実現することを目指している。システムが完成すれば、インターネットが未整備の地域にも10Tbps以上の高速通信サーヴィスが提供されるという。
ワンウェブ衛星は1機あたり約150kgで、ロケットでまず高度500kmの準極軌道に打ち上げられた後、運用軌道へと移行するように飛行する。
今回の契約では、2017年後半から2019年末にかけて、ソユーズ・ロケットが21機(オプション契約5機)が打ち上げられるという。衛星1機は小型なため、1機のロケットに複数の衛星が乗ることになり、このソユーズの打ち上げでほぼ全機が揃うことになる。
打ち上げ場所はカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地のほか、南米仏領ギアナのギアナ宇宙センター、ロシア国内の宇宙基地(おそらくヴァストーチヌィ宇宙基地)が予定されているという。
アリアンスペース社によると、ソユーズが選ばれた理由は、いくつかの異なる宇宙基地から、準極軌道への打ち上げが可能な能力を持ち、また頻繁な打ち上げに対応する生産ラインも確立されていることが決定打になったとしている。
またオプションとして、同社の次世代大型ロケット「アリアン6」による3機の打ち上げも契約に含まれているという。この打ち上げは2021年から予定されており、ソユーズで打ち上げられた第1世代機の代替機や、後継機となる第2世代機の打ち上げを担うとされる。
この契約締結に際し、アリアンスペース社のステファン・イズラエルCEOは、次のように述べた。
「アリアンスペース社は、革新的なコンステレーション衛星を打ち上げるという重要な役割を担うことができ大変光栄です。契約の規模や契約額の大きさは、当社がワンウェブ社に多大なる信頼をいただいている証です。地球上のあらゆる地域での通信を可能にするというこのプロジェクトの目的は、当社の価値観『すべての人の幸福のために宇宙をもっと身近なものにする』に一致します。このような素晴らしいプロジェクトに参加できワンウェブ社に感謝いたします」。
■Arianespace - Press Release - OneWeb signs agreement with Arianespace for the deployment of the OneWeb Constellation
http://www.arianespace.com/news-press-release/2015/6-25-2015-OneWeb.asp