4月28日に打ち上げられた後、制御不能に陥り、現在軌道を徐々に下げているロシアの「プログレスM-27M」補給船について、ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は5月7日夜、最新の分析から、モスクワ時間5月8日1時13分から4時51分(日本時間5月8日7時13分から10時51分)のどこかで、大気圏に再突入する可能性が高いと発表した。

また米戦略軍は日本時間5月8日10時47分(誤差はその前後5時間)、著名なアマチュア衛星ウォッチャーのTed Molczan氏は5月8日11時3分(誤差はその前後1.9時間)と予測しており、ほぼ一致をしている。

この時間帯では、プログレスM-27Mは南米大陸の南端から南大西洋を通り、アフリカ大陸を通過し、中央アジアのカザフスタンや中国、モンゴルを通り、北海道のさらに北を通過して太平洋に出ると予測される。逆に、北米大陸や欧州、ロシア連邦の大部分、インドや東南アジア、オーストラリア大陸、そして日本の上空は通らない。

プログレスM-27Mの船体は、大気圏再突入時にほとんどが燃え尽きると予想されるものの、チタン製のタンクなど、いくつかの部品に関しては燃え残り、小さな破片となって地上に落下する可能性もある。

プログレスM-27Mは4月28日、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた後、何らかの問題が発生し、地上との通信も取れず、制御不能の状態に陥った。ロスコスモスは29日、国際宇宙ステーションとのドッキングを断念し、その後も原因の分析と、再突入の制御を目指して機能回復に向けた努力が続けられたが、成功しなかった。

プログレスM-27Mには、国際宇宙ステーション(ISS)に補給するための水や食料、燃料、酸素などの物資が搭載されていた。なお、NASAやJAXAによれば、これらの補給物資がなくても、ISSの運用にも影響はないという。また、プログレスM-27MはISSより低い軌道にいるため、両者が衝突するなどといった危険もない。

現在、ロシアでは事故の調査が続けられており、結果は5月13日以降に発表されるという。現時点で明らかになっているデータなどから、原因はプログレスM-27Mではなく、打ち上げたロケットの第3段が爆発した、もしくは分離後にプログレスM-27Mに追突したためという説が有力視されている。なお、ロケットの第3段はすでに大気圏に再突入している。

また、ロシアのインターファクス通信が報じたところによれば、今回の事故を受け、5月27日に予定されているソユーズTMA-17M宇宙船の打ち上げを、1か月半から2か月ほど延期する方向で話が進められているという。また別の情報によると、ソユーズTMA-17Mの打ち上げより前に、プログレスM-28M補給船を打ち上げることが検討されているという。有人宇宙船の打ち上げ前に無人補給船の打ち上げで露払いすると同時に、今回補給できなかった物資を改めて運ぶ意味もあろう。プログレスM-28Mは本来、今年の8月ごろに打ち上げられる予定だったが、すでに機体は製造元のRKKエネールギヤ社にあり、準備の予定を前倒しすることで7月ごろに打ち上げることは可能だとされる。

また5月15日には、今回プログレスM-27Mを打ち上げたのと同じソユーズ2.1aロケットが、軍事衛星を載せて打ち上げられる予定となっているが、これも延期される見込みだという。

 

■ROSCOSMOS: improve the forecasting of TGK "Progress M-27M" ON 7 MAY 2015 16:30
http://www.roscosmos.ru/21471/