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ISRO(インド宇宙研究機関)のV.ナラヤナン議長は2026年10月24日、インド南部チェンナイの大学で行われた卒業式で、2029年までにインド国内で稼働する発射台を4か所にする考えを示しました。現地紙The HinduやTimes of Indiaが報じています。

現在、ISROの衛星打ち上げは、南東部シュリーハリコータの「サティシュ・ダワン宇宙センター」にある2か所の発射台が担っています。ここに、同センターで建設が予定されている「第3発射台」と、南部タミル・ナードゥ州クラセカラパッティナムで建設中の「SSLV発射場(SSLV Launch Complex)」が加わることになります。

参考画像:インド・シュリーハリコータのサティシュ・ダワン宇宙センター第2発射台で、打ち上げを待つGSLV-F17ロケット(Credit: ISRO)
【▲ 参考画像:インド・シュリーハリコータのサティシュ・ダワン宇宙センター第2発射台で、打ち上げを待つGSLV-F17ロケット(Credit: ISRO)】

約30年前と約20年前の発射台に頼ってきた

第1発射台は約30年前に「PSLV」ロケット用として整備され、現在はPSLVと小型ロケット「SSLV」が使っています。約20年前に完成した第2発射台は、主に大型の「GSLV」や「LVM3」が使っており、有人宇宙船「ガガンヤーン」を打ち上げる有人仕様のLVM3の準備も進んでいます。

インド政府は2025年1月、総額約398億ルピーで第3発射台を整備する計画を承認しました。整備期間の目標は48か月です。主な用途は、ISROが開発中の次世代ロケット「NGLV(Next Generation Launch Vehicle)」の打ち上げで、第2発射台の予備も兼ねます。NGLVは第1段を再使用する設計のロケットです。地球低軌道へ最大30トンを打ち上げる計画で、LVM3の約3倍の能力をLVM3の約1.5倍のコストで実現することを目指しています。インドが2035年までの完成を目指す宇宙ステーション「バーラティヤ・アンタリクシュ・ステーション(BAS)」や、2040年までの有人月面着陸を支える役割が期待されています。

小型衛星を真南へ打ち上げられる新射場

クラセカラパッティナムのSSLV発射場は、小型ロケット「SSLV」による極軌道への打ち上げを主な用途とする施設です。2024年2月にモディ首相が定礎し、2025年3月に主要施設の建設が始まりました。敷地は約2,000エーカー(約8平方km)で、組立棟や発射台、ロケットを運ぶレール、追跡・テレメトリー設備などを備えます。

この場所が選ばれた理由のひとつは地理です。シュリーハリコータの真南にはスリランカがあるため、極軌道へ向かうロケットはいったん東へ飛んでから南へ向きを変える必要があり、そのぶん燃料を使います。クラセカラパッティナムからなら、陸地の上を通らずにインド洋を真南へ飛べます。積める衛星の重さに余裕が少ない小型ロケットにとって、この差は大きな意味を持ちます。

ナラヤナン議長によれば、この射場からの初打ち上げは2027年になる見通しです。SSLVだけでなく、民間企業のロケットも打ち上げる計画です。

狙いは民間と組んで「数千機」の需要に応えること

ナラヤナン議長は、ISROを民営化することはないと明言しました。そのうえで、国内外で数千機規模の衛星の打ち上げ需要が見込まれ、それに応えるには民間企業との協力が欠かせないと述べています。ISROがスタートアップや民間企業に技術を伝えて支え、経済の成長と技術者の雇用につなげたいとの考えです。

SSLVはすでに開発を終え、2025年9月にはインドの国営航空機メーカー「ヒンドゥスタン・エアロノーティクス(HAL)」への技術移転契約が締結されています。インドは宇宙経済の規模を2033年までに440億ドルへ拡大する目標を掲げています。発射台を増やす計画は、ISRO自身の打ち上げ能力を高めると同時に、民間ロケットが飛び立つ場所を用意する取り組みでもあります。

 

文・編集/sorae編集部

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参考文献・出典