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NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年10月20日付で、月の南極域における有人活動の拠点を築く「月面基地(Moon Base)」計画で使われる有人月面探査車(ローバー)の「LTV(Lunar Terrain Vehicle)」について、最新の開発状況を発表しました。2028年までに月の南極域へ送り込まれる予定のLTVは、宇宙飛行士による評価試験が始まっています。

宇宙飛行士が乗る探査車を2社が開発

アメリカが主導する有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」では、月面基地計画で整備される設備や機材が活動の支えとなります。なかでも初期段階における宇宙飛行士の移動手段となるのがLTVです。

NASAは2026年5月、第1段階のLTVを開発する企業としてアメリカのAstrolab(アストロラボ)社とLunar Outpost(ルナ・アウトポスト)社を選定しました。両社のLTVは、Blue Origin(ブルーオリジン)社の月着陸船で月の南極域へ届けられる予定です。

ちなみに、日本で開発が進められている探査車「ルナクルーザー」は与圧型ですが、LTVはアポロ計画の月面車と同様に与圧室を持たず、宇宙飛行士は宇宙服を着たまま乗り込みます。

AstrolabのLTV「CLV-1」のCGイメージ(Credit: Astrolab)
【▲ AstrolabのLTV「CLV-1」のCGイメージ(Credit: Astrolab)】
Lunar OutpostのLTV「Pegasus」の実物大モックアップ(Credit: Lunar Outpost)
【▲ Lunar OutpostのLTV「Pegasus」の実物大モックアップ(Credit: Lunar Outpost)】

宇宙飛行士の到着前に南極域を“下見”

アポロ計画の月面車は宇宙飛行士が乗る月着陸船に積み込まれて月面に運ばれましたが、アルテミス計画のLTVは無人の月着陸船を使ってあらかじめ月面に送り込まれます。

NASAによると、両社のLTVはいずれも地球からの遠隔操作に対応しています。LTVは無人のままでも1日あたり最大6km走行しながら月面を調査することが可能で、得られたデータは高解像度の地図作成に役立てられます。また、太陽の光が届かず、マイナス200℃程度にも達する月面の「永久影」に出入りしたときに機能やエネルギーをどれだけ保つことができるのかも、無人走行で確かめられるといいます。

宇宙飛行士の到着後、LTVは南極域を巡って地球へ持ち帰る試料を集める際の移動に使われます。NASAによると、LTVは有人ミッション1回あたり最大3回の船外活動をサポートし、1回の充電で最大10km走行することが可能です。

モックアップを使って宇宙飛行士が“乗り心地”を確認

アルテミス計画で初の有人月面着陸を行う「Artemis IV(アルテミスIV)」ミッションが実施される予定の2028年が近づく中、LTVの開発も順調に進められています。

LTVを担当する2社のひとつAstrolabは、同社のLTV「CLV-1」のモックアップを、アルテミス計画の月面用宇宙服を開発しているアメリカのAxiom Space(アクシオム・スペース)社に納入。一方のLunar Outpostも、同社のLTV「Pegasus(ペガサス)」のモックアップをNASAのジョンソン宇宙センターへ納入しました。

LTVのモックアップは、月面用宇宙服の着用状態を模した宇宙飛行士が使い勝手や快適性、各種ハードウェアの評価といった、“乗り心地”を確かめるために使用されます。NASAによると、両社とも2027年末にフライトモデルをNASAへ引き渡すタイムライン通りに開発が進んでいるということです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典