こちらは、NASA(アメリカ航空宇宙局)のチャンドラX線宇宙望遠鏡などが観測した棒渦巻銀河「NGC 1385」。ろ座(炉座)の方向、地球から約3000万光年先にあります。

棒渦巻銀河とは、星、ガス、塵(ダスト)が棒状に集まった構造を中心部に持つ渦巻銀河のことです。NASAによると、NGC 1385のような棒渦巻銀河では、この棒状の構造が星形成の“燃料”となる物質を銀河の内側へと送り込み、爆発的な星形成を引き起こす様子を見ることができるといいます。
光の種類ごとに違って見える銀河の姿
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、それにチャンドラ宇宙望遠鏡がそれぞれ捉えた、可視光線・赤外線・X線の観測データを組み合わせて作成されました。人間には見えない赤外線やX線は、擬似的に色を割り当てて表現されています。
チャンドラの運用を担うCXC(チャンドラX線センター)によると、画像の横幅は約2万3000光年に相当します。画像全体に広がる白やグレーの部分はハッブル、中心部から渦巻腕(渦状腕)にかけて網の目のように広がるオレンジや赤の部分はウェッブが捉えたものです。
NASAによると、塵は紫外線や可視光線を吸収し、赤外線として放ち直します。そのため、可視光線を捉えるハッブル宇宙望遠鏡では星の光をさえぎる暗い筋として見える塵も、赤外線を捉えるウェッブ宇宙望遠鏡では輝いて見えるといいます。
また、宇宙から届くX線の大部分は地球の大気に吸収されてしまうため、チャンドラは宇宙空間でX線を観測しています。ハッブルやウェッブでは捉えられないX線を観測できることが、チャンドラの強みです。NASAによると、マゼンタ(赤紫色)で示されたチャンドラのX線データは、塵の多い渦巻状の構造に沿って点在する星形成領域や、X線連星の存在を浮かび上がらせています。
X線連星とは、恒星としての寿命を終えた星が残した中性子星やブラックホールと、もうひとつの恒星が連星をなしている天体です。CXCによると、2つの星の距離が近い場合、中性子星やブラックホールの強い重力がペアを組む恒星からガスを引き寄せます。ガスは落下する過程で100万度以上の高温に加熱され、チャンドラが捉えられるX線を放つといいます。
天の川銀河の成り立ちを理解する手がかりに
NASAによると、星形成が活発な棒渦巻銀河を複数の波長で観測することは、爆発的な星形成によって銀河の質量が時間とともにどのように積み上がっていくのかを描き出す助けになるといいます。
天の川銀河もまた、中心部に棒状の構造を持つ棒渦巻銀河のひとつだと考えられています。活発に星を生み出すNGC 1385の姿は、天の川銀河の成り立ちを理解するうえで、手がかりのひとつになりそうです。
冒頭の画像はNASAやCXCから2026年8月25日付で公開されたもので、NASAのハッブル宇宙望遠鏡公式Xアカウントが2026年10月15日に改めて紹介しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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