こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した相互作用銀河「NGC 6670」。りゅう座の方向、地球から約4億光年先にあります。

ほぼ真横から見た2つの円盤銀河
相互作用銀河とは、重力を介して相互作用することで、形がゆがむなど影響を及ぼし合っている複数の銀河のことです。NGC 6670は2つの円盤状の銀河で構成されていて、NASA(アメリカ航空宇宙局)はその姿を“跳ねるイルカ”にたとえています。
どちらの銀河も細長く見えるのは、円盤をほぼ真横から見る位置関係にあるためです。画像に向かって左側に伸びているほうは「NGC 6670W」、右上へ伸びているほうは「NGC 6670E」と呼ばれています。末尾のWとEは、天球上で西側・東側に位置することを示しています。
2001年に発表された論文によると、画像右のNGC 6670Eが手前側、画像左のNGC 6670Wが奥側に位置する可能性が示唆されています。
電波で見つかったガスの尾が示す過去の接近
NASAによると、2つの銀河は中心核どうしが約5万光年離れているとみられていますが、過去に少なくとも1度は接近したことがあり、2度目の接近の初期段階にあると考えられています。
前述の論文によると、NGC 6670は真横に近い向きの円盤どうしが重なって見えているうえに、引き伸ばされた尾のように相互作用の証拠となる構造も可視光線では見られません。そのため、2つの銀河が本当に影響し合っているのか、偶然重なって見えているだけなのかを見分けるのが困難でした。
そこで研究チームは、電波望遠鏡を使って中性水素(電離していない水素原子)のガスを観測しました。このガスは星よりも広く分布していて、銀河への結びつきは星よりも弱いため、重力による乱れを敏感に反映するといいます。
観測の結果、可視光線では対応する構造が見当たらない長いガスの尾が、NGC 6670の西側(画像では左下の方向)へ伸びていることが判明。このガスの尾をもとに、2つの銀河は偶然重なって見えているのではなく実際に相互作用していて、すでに少なくとも1度は接近したと考えられています。
活発な星形成「スターバースト」が起きつつある?
NASAによると、赤外線で観測したNGC 6670は太陽の1000億倍以上の明るさで輝いており、「スターバースト」の段階に入りつつあると考えられています。スターバーストとは、短期間に大量の星が生み出される現象のことです。
銀河の衝突は、ひとりの人間からすれば永遠にも感じられるほど長い、数億年という時間をかけて進みます。2度目の接近に向かい、星の誕生が活発になりつつあるNGC 6670の姿は、銀河どうしの衝突・合体のごく初期の一場面を捉えたものと言えそうです。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ18周年を記念して2008年4月24日付で公開された“衝突・合体する銀河”の画像59点のうちの1枚で、NASAのハッブル宇宙望遠鏡公式Xアカウントが2026年10月14日に改めて紹介しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA - Hubble Interacting Galaxy NGC 6670
- NASA - Cosmic Collisions Galore!
- Wang et al. - Gas Distribution and Starburst Activity in the Widely Separated Interacting Galaxy Pair NGC 6670 (The Astronomical Journal)























