
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した「わし星雲(Eagle Nebula)」にそびえる柱状の暗黒星雲。へび座の方向、地球から約7000光年先にあります。

長さ10光年近い巨大な“ガスと塵の柱”
暗黒星雲の正体は、星の材料となるガスや塵(ダスト)が高い密度で集まった低温の分子雲です。背後からの可視光線を吸収することで、暗い雲として見えています。
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、この暗黒星雲の柱は全長約9.5光年に達します。太陽に近い星として知られる「ケンタウルス座α(アルファ)星」まで約4.3光年ですから、その2倍以上もある構造なのですが、それでもわし星雲全体からすればほんの一部分でしかありません。
なお、わし星雲は「Messier 16(M16)」というカタログ名でも知られています。これは、18世紀にフランスの天文学者Charles Messier(シャルル・メシエ)が彗星と見間違えやすい星雲や星団をまとめた「メシエカタログ」における名前です。
ハッブルの記念画像に最新技術を適用
この画像はもともとハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ15周年を記念して2005年に公開されたものですが、2025年に最新の画像処理技術を用いて再度公開されました。わし星雲の暗黒星雲といえば「創造の柱」が有名ですが、この画像に写っているのはまた別の“柱”です。
暗黒星雲の輪郭を浮かび上がらせているのは、背後のガス雲の輝きです。赤色は水素が、青白い色は酸素が放つ光を示しています。ところどころに見えているオレンジ色の点は、塵を通り抜けることができた背後の星々の輝き。塵には特に波長が短い青色の光をさえぎる性質があるため、通過できるのは赤い光ばかりです。
削られ消えていく運命の暗黒星雲
ESAによれば、この“柱”を形作ったのは画像の視野外にあるわし星雲中心部の星々です。若い星々から放たれた強力な紫外線や恒星風によってガスと塵が吹き払われると、密度の高い場所だけが残ります。あたかも削り出された彫像のように、暗黒星雲の柱が残されたというわけです。
裏を返せば、“柱”がこうして姿を見せているのは一時的に保たれた均衡の結果でしかありません。わし星雲では今も新たな星が生まれ続けており、やがてはその活動によって画像の暗黒星雲も消え去ってしまうと考えられています。
冒頭の画像はESA/Hubbleから2025年4月18日付で公開されたもので、ESAのハッブル宇宙望遠鏡公式Xアカウントが2026年9月17日に改めて紹介しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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