
(引用元:ESA)
こちらは、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の探査機「ジオット(Giotto)」が撮影した「ハレー彗星(1P/Halley)」の核です。今から40年前の1986年3月、ジオットに搭載されたカメラ(HMC)の観測データをもとに作成された画像で、彗星の核とそこから噴き出す物質の様子を捉えています。

画像の中央から右上にかけて暗く浮かび上がっている塊が、ハレー彗星の本体である「核」です。左側の明るく輝く領域には、太陽の光で温められた核の氷が昇華し、ガスや塵(ダスト)が噴き出す「ジェット」の様子が示されています。
約75〜76年周期で太陽の周りを公転するハレー彗星は、1986年に太陽へ接近した際、日本の「すいせい」「さきがけ」やソ連の「ベガ1号・2号」、そしてESAの「ジオット」という各国の探査機群(ハレー艦隊)によって集中的に観測されました。その中でも1986年3月14日に核から約596kmまで接近したジオットは、ESAによると、彗星の核を初めて間近で撮影し、その形や表面の様子を明らかにしました。
ただし、ハレー彗星の核に対して秒速約68kmで接近したジオットは、最接近の直前に塵の衝突を受け、姿勢が大きく乱れて地球との通信が一時的に途絶えました。その後、通信は回復しましたが、カメラは損傷によって使えなくなりました。この画像は、最接近前に取得された貴重な観測データをもとに作成されています。
ジオットの観測によって明らかになったハレー彗星の核は、長さ約15km、幅約8kmのジャガイモに似た不規則な形をしていました。彗星の核は氷と塵が混ざった「汚れた雪玉」に例えられますが、ESAによると、ハレー彗星の核の表面は太陽光の数%しか反射しないほど暗く、ガスや塵を噴き出す活動領域は表面の一部に限られていました。
オリオン座流星群の「ふるさと」として
毎年10月下旬に見頃を迎える「オリオン座流星群」は、このハレー彗星を母天体としています。ハレー彗星が過去に太陽へ接近した際に放出し、軌道に沿って残していった無数の小さな塵の帯に、毎年この時期に地球が差し掛かることで流星群が発生します。
オリオン座流星群の流れ星は、かつてこの画像のジェットのようにハレー彗星の核から放出された小さな塵が、秒速約66kmで地球の大気へ飛び込み、大気や気化した塵の成分が光を放つ現象なのです。
国立天文台によると、2026年のオリオン座流星群は10月22日ごろに極大を迎えます。21日の深夜から22日の明け方にかけてなど、極大前後の数日間が見頃です。未明に月が沈んだ後、街明かりが少なく空の暗い場所では、1時間に5〜10個ほどの流星が見られると予想されています。
ちなみに、ハレー彗星本体は2023年12月に太陽から最も遠い「遠日点」(約35天文単位、海王星の軌道よりさらに外側)を通過し、現在は再び太陽へ向けて少しずつ戻り始めています。次にハレー彗星が太陽へ接近するのは2061年夏と予想されていますが、彗星が残した「かけら」には、今年の秋の夜空でも出会うことができます。
編集/sorae編集部
関連記事
- 同じ名前の彗星はどう区別すればいい? 彗星の名前の付け方について
- 観測史上最大の核を持つ彗星が接近中。ハッブルが驚異的なサイズを測定
- 推定直径100~200kmの巨大な彗星が見つかる、2031年に太陽へ最接近
参考文献・出典
- ESA - Comet Halley's nucleus as seen by Giotto
- ESA - Giotto overview
- ESA - Giotto’s comet results
- NASA - Comet Halley(PIA17485)
- NASA - 1P/Halley
- NASA - Orionids Meteor Shower
- 国立天文台 - 流星群
- 国立天文台 - ほしぞら情報2026年10月
- Universe Today - Famed Halley’s Comet Passes Aphelion This Weekend






















