株式会社アストロスケールホールディングスは2026年11月4日、ドイツの宇宙システム企業OHB SE(以下、OHB)と、宇宙空間にある重要インフラを守る能力について協力を検討する覚書(MoU)を締結したと発表しました。覚書は2026年10月28日、東京のドイツ大使館で開かれた「日独ビジネスサミット」で発表されています。OHBによると、このイベントはドイツのメルツ首相のアジア訪問に合わせて行われたといいます。

衛星システムの技術と軌道上サービスを組み合わせる
今回の覚書は、軌道上サービス・組立・製造(ISAM)、宇宙領域把握(SDA)、宇宙安全保障の分野で、両社の得意分野を生かした共同事業の可能性を探るための枠組みです。OHBが持つ衛星システムの設計・開発やミッション運用の技術と、アストロスケールが持つ軌道上サービスの技術を組み合わせることが想定されています。
協力の中心となるのは、アストロスケールの英国子会社Astroscale Ltd.(アストロスケール英国)とOHBの連携です。英国で開発された技術の輸出機会をつくることや、新しい顧客ニーズに共同で対応することを目指します。アストロスケールの日本での事業基盤を生かし、日本での協力の可能性も検討します。
背景には、英国とドイツの関係強化があります。両国は「ケンジントン条約」や「トリニティ・ハウス協定」を通じて戦略的なパートナーシップを深めていて、2026年10月8日にベルリンで発表した共同声明では、民間・商業・安全保障・防衛にわたる宇宙分野での協力を強める方針を示しました。
「一国だけで対処できる課題ではない」
通信や測位、地球観測など、社会を支える衛星サービスの重要性が高まるにつれて、軌道上のインフラをどう守るかは各国政府や衛星事業者にとって大きな課題になっています。
アストロスケールの岡田光信社長は「宇宙活動を行う国々が直面する課題の多くは非常に複雑で、相互に密接に関連しており、一国だけで対処できるものではありません」とコメントしています。OHBのCSO(最高戦略責任者)を務めるマルクス・メラー氏も「宇宙インフラは現代社会に不可欠なものとなっており、その重要性に応じて保護されなければなりません」と述べています。
覚書発表と同じ10月28日には、アストロスケール英国が英国防省から、宇宙のレジリエンス強化を支援する1,500万ポンドの契約を受注したことも発表されました。軌道上の物体に近づいて観測する技術を、安全保障の分野に生かす動きが広がっています。
文・編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- アストロスケール - OHB and Astroscale Sign Agreement to Strengthen International Cooperation on Space Security
- OHB - OHB and Astroscale sign agreement to strengthen space security and orbital services capabilities
- GOV.UK - Joint UK-Germany Statement - Berlin, 8 October 2026










