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エディンバラ大学のPari Mohan氏とワシントン大学応用物理研究所のAditya Khuller氏は、火星の北極付近で地表に露出している水の氷が、どれくらいの塵(ダスト)を含んでいるのかを見積もり直した研究成果を発表しました。両名の成果をまとめた論文は学術誌「npj Space Exploration」に掲載されています。

ESAの火星探査機「Mars Express(マーズ・エクスプレス)」が観測した火星のコロリョフ・クレーター(Credit: ESA/DLR/FU Berlin)
【▲ ESAの火星探査機「Mars Express(マーズ・エクスプレス)」が観測した火星のコロリョフ・クレーター(Credit: ESA/DLR/FU Berlin)】

氷に混じる塵はなぜ重要なのか

ワシントン大学によると、火星の氷には地球と同じように過去の気候の記録が残されていると考えられており、火星で生命が誕生したのか、あるいは今も存在するのかを知る手がかりになる可能性があります。また、塵は氷を暗くして宇宙へ反射される太陽光の量を変えるため、火星の気候にも影響を与えるといいます。

Khuller氏は、塵を多く含む氷ほど温まりやすく、火星ではより速く気化してしまうと指摘しています。ところが、火星の北極周辺の地域にある氷にどれくらいの塵が含まれているのかは研究者の間で見解が分かれており、表面の氷に含まれる塵は最大で約25%(質量比)とする見積もりもあったといいます。

地球の雪と氷で実績のある手法を火星でも

ワシントン大学によると、火星の氷の性質を調べるうえでこれまで主流だった分析手法は、月の土壌を調べるために開発されたものでした。Khuller氏がこの手法の正確さを地球で確かめたところ、結果に食い違いが見られたといいます。そこで研究チームは、地球の雪と氷の分析で数十年にわたって実績のある手法をもとに、分析をやり直すことにしました。

使われたのは、火星を周回する探査機と、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機「Phoenix(フェニックス)」がこれまでに取得したデータです。2008年に火星の北部へ着陸したフェニックスにはロボットアームが搭載されており、地面を掘ったところ、地表から数cm下に埋まっていた氷が露出したことがあります。

NASAの火星探査機「Phoenix(フェニックス)」が発見した表面下の氷(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/Texas A&M University)
【▲ NASAの火星探査機「Phoenix(フェニックス)」が発見した表面下の氷(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/Texas A&M University)】

研究チームは、フェニックスが掘った溝で露出した氷をはじめ、コロリョフ・クレーターなど火星の北緯65度以上の6か所について、氷が太陽光を反射する度合いを分析しました。その結果、6か所の氷に含まれる塵は一般に質量比で3%未満であり、従来の見積もりを大幅に下回ることがわかりました。

また、季節によって氷の明るさが変化する様子も明らかになりました。Khuller氏は「明るさが時間とともにどう変化したのかを調べることで、冬に霜ができ、その霜はより多くの塵を含んでいることがわかりました。火星の夏になると霜は消え、よりきれいで古い氷が現れます」と述べています。

氷と塵の層が投げかける問い

ワシントン大学によると、地球の氷の中に生じる、塵を含んだ水のたまり場には、夏になると多くの微生物が生息していることがよくあるといいます。Khuller氏は「火星と地球の両方に、水の氷と塵からなる良く似た層があるという事実は興味深いものです。どうして一方の惑星には生命が存在し、もう一方には存在しないのでしょうか」と述べています。

Khuller氏は今後、改良された手法を火星の他の地域にも適用したいと考えています。氷に含まれる塵の量を見直した今回の成果は、火星の極域の氷がどのように保たれ、火星の気候がどのように移り変わってきたのかを解き明かすうえで、重要な手がかりになることが期待されます。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典