こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した、しし座で輝く銀河のペアです。

真っ暗な宇宙空間に浮かび上がるのは、左側の大きな渦巻銀河「NGC 3227」と、右側のぼんやり輝く楕円銀河「NGC 3226」です。天文学者のHalton Arpが1966年にまとめた特異銀河(特異な形態を持つ銀河)のカタログ「Atlas of Peculiar Galaxies」では、「Arp 94」として収録されています。
NGC 3226とNGC 3227は比較的近い距離にあり、互いに重力を介して相互作用しています。よく見ると、2つの銀河の間には、まるで橋をかけたように、重力相互作用によって引き剥がされたガスや塵(ダスト)の帯が存在しています。
活動的な中心核を持つNGC 3227
NASA(アメリカ航空宇宙局)によれば、左側のNGC 3227は活動銀河核(AGN)を持つセイファート銀河に分類されます。
活動銀河核は強い電磁波が観測される銀河中心部の狭い領域のことで、その原動力は太陽の数百万倍~数十億倍の質量がある超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)だと考えられています。周囲の物質がブラックホールへ渦巻きながら落下していく過程で強力な電磁波が放射され、銀河の中心部分を明るく輝かせているのです。
星の誕生をさまたげる温かいガス
一方、右側のNGC 3226についても、別の観測から興味深い事実が判明しています。
以前の研究によれば、NGC 3226は過去に別の銀河と合体した痕跡が見られます。一般的に、他の銀河からガスや塵を取り込んだ銀河では、新しい星を生み出し星形成活動が促進されやすくなります。しかし、NGC 3226では反対に、星形成のペースが著しく低下しています。
NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡やESA(ヨーロッパ宇宙機関)のハーシェル宇宙望遠鏡などの観測データを用いた研究によると、飲み込まれた銀河の残骸である温かいガスがNGC 3226に流れ込むことで、星の材料となる冷たいガスと衝突して温めているとみられます。
星が形成されるには低温の環境が理想的であるため、温かいガスの流入が結果的に新たな星の誕生をさまたげているようです。このことから、NGC 3226は活発に星を生み出す若くて青い銀河から、星形成を終えた古くて赤い銀河へと進化していく過渡期にあると考えられています。

冒頭の画像はNASAから2022年5月25日付で公開されました。
本記事は2022年7月16日公開の記事を再構成したものです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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