アトラスVロケット、偵察衛星を打ち上げ RL10C-1エンジン初使用

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Atlas V launches NROL-35 satellite
Image credit ULA
 ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社は12月12日、偵察衛星NROL-35を搭載したアトラスVロケットの打ち上げに成功した。NROL-35は米国家偵察局(NRO)の衛星だが、目的や性能は謎に包まれている。
 ロケットは米太平洋標準時2014年12月12日19時19分(日本時間2014年12月13日12時19分)、米カリフォーニア集にあるヴァンデンバーグ空軍基地のSLC-3Eから離昇した。その後、ULA社や米空軍は「打ち上げ成功」と発表した。
 NROL-35は米国の偵察衛星であることから、米軍が提供している衛星の軌道データのリストには掲載されていないが、アマチュアの衛星観測家らによって、高度2,101 x 37,748km、軌道傾斜角62.8499度の軌道にNROL-35と思われる物体が乗っていることが確認されている。
 NROL-35はNROの衛星であるということ以外、何も明らかにされていない。しかし衛星が投入された高度2,101 x 37,748km、軌道傾斜角62.8499度という軌道から、トランペットという名前で知られる電子情報(ELINT)偵察衛星の打ち上げであった可能性が高い。さらに、これまでのトランペットは、デルタIV M+(4,2)や、アトラスV 411という、今回使用されたアトラスV 541よりも能力が小さなロケットで打ち上げられていることから、今回の衛星は従来のトランペットとは異なる、まったく新しい衛星である可能性も高い。
 打ち上げに使われたアトラスVは、ロッキード・マーティン社によって開発されたロケットで、ボーイング社のデルタIVロケットと共に、ロッキード・マーティン社とボーイング社の共同出資で設立されたULA社によって運用されている。
 アトラスVは今回で51機目の打ち上げとなった。これまでに2007年に一度予定より低い軌道に衛星を投入してしまった以外は、安定した成功を続けており、今回で41機連続での成功ともなった。
 今回の打ち上げに使われたのはアトラスV 541と呼ばれる構成で、これはフェアリングの直径が5m、固体ロケットブースターを4基装備し、セントール上段にRL10エンジンが1基、ということを示している。
 アトラスVの第1段には、ロシアのNPOエネルゴマシュ社が製造したRD-180エンジンが使われており、このエンジンを巡っては米国の国内、またロシア側からも、その使用や輸出に関して揉めている状況が続いている。ロシアのロゴージン副首相は、軍事衛星の打ち上げにロシア製エンジンの使用を禁止することも匂わせており、今後、今回のような軍事衛星の打ち上げにアトラスVが使えなくなる可能性もある。ロゴージン副首相の発言後も、RD-180は定期的に輸出されており、差し迫った状況にはないものの、現在米国では、国産の代替エンジンを開発する動きが始まっている。
 また、これまでアトラスVの第2段で使われていたRL10Aロケットエンジンに代わり、今回はRL10C-1と呼ばれる新しいエンジンが使用された。RL10は米国で50年以上使われて続けているロケット・エンジンのシリーズで、これまで数多くの人工衛星や惑星探査機などを打ち上げ続けてきた傑作エンジンである。推進剤には液体水素と液体酸素が用いられ、複数回点火できる能力を持ち、衛星をさまざまな軌道に、かつ正確に送り込むことが可能だ。
 RL10C-1は、デルタIVロケット向けに生産されたものの、在庫が余ってしまっているRL10Bエンジンを、アトラスV向けに改造したものだ。例えば炭素繊維強化炭素複合材料を使ったノズルや、燃焼室やインジェクターなどはRL10Bのものが使われている。一方、ターボ・ポンプはRL10Aのものが用いられており、またRL10AにあってRL10Bにはない、点火システムの冗長化や、推進剤の混合比率を制御するための電子機器の搭載といった改造も施されている。RL10Cはいわば、RL1AとRL10Bを混ぜ合わせたようなエンジンだ。さらに軌道上で運用できる時間が、従来の720秒から2000秒まで、3倍弱ほどにまで向上している。
 なお、アトラスVには、第2段にエンジンを2基並べて搭載する(xx2)構成があるが、RL10C-1はノズルの直径が大きいため、並べて搭載することができない。したがってxx2構成のアトラスVは、今後もRL10Aを使い続けることになる。
 また、RL10C-1をさらにデルタIVロケット向けに改造したRL10C-2も開発中で、数年のうちにデビューする予定となっている。
 今回の打ち上げはULA社にとって今年最後となり、次回は2015年1月20日に予定されている、アトラスVロケットによる軍用通信衛星MUOS-3の打ち上げとなる。
■United Launch Alliance Atlas V Successfully Launches Payload for the National Reconnaissance Office – United Launch Alliance
http://www.ulalaunch.com/ula-atlas-v-successfully-launches-nrol-35.aspx?title=United+Launch+Alliance+Atlas+V+Successfully+Launches+Payload+for+the+National+Reconnaissance+Office

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