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北極圏の宇宙拠点「エスレンジ宇宙センター」が開設60周年を迎える

スウェーデン北部のキルナ郊外にある「エスレンジ宇宙センター(Esrange Space Center)」が、2026年9月24日に開設60周年を迎えました。観測ロケットや気球を使った科学研究を支えてきた同センターでは、人工衛星を軌道へ送り出すロケットの打ち上げに向けた準備も進められています。

2018年冬のエスレンジ宇宙センター。ロケットと気球を合成した画像(Photo montage: Thomas Utsi)
【▲ 2018年冬のエスレンジ宇宙センター。ロケットと気球を合成した画像(Photo montage: Thomas Utsi)】

運営するのは、スウェーデンの国有企業SSC Space(旧Swedish Space Corporation/スウェーデン宇宙公社)です。同社は9月24日に開設60周年を祝うと発表しました。

エスレンジは北極圏内のオーロラが現れる地域に位置し、周囲には人口の少ない広大な落下・回収区域が確保されています。こうした条件を生かし、大気やオーロラの観測、微小重力を利用した実験などが行われてきました。

建設が始まったのは1964年です。最初の観測ロケットは「Centaure 1」で、SSC Spaceによると、1966年11月に打ち上げられました。1972年にはSSCが運営を引き継ぎ、1974年には高高度気球の放球も始まっています。これまでに600機以上の観測ロケットと700機以上の高高度気球が打ち上げられたといいます。

エスレンジ宇宙センターで最初に打ち上げられた観測ロケットの準備風景。1966年撮影(Credit: SSC Space)
【▲ エスレンジ宇宙センターで最初に打ち上げられた観測ロケットの準備風景。1966年撮影(Credit: SSC Space)】

現在は衛星との通信も担っており、基地内には40基以上のアンテナが設置されています。日本との接点もあり、JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2015年、超音速飛行時に生じる衝撃音「ソニックブーム」を抑える技術の実証試験「D-SEND#2」をエスレンジで実施しました。

ロケット開発と衛星打ち上げに向けた準備

近年はロケット開発を支える設備も拡充されています。ヨーロッパの再使用型ロケット段実証機「Themis(テミス)」では、エスレンジで離着陸試験に向けた準備が進められています。2026年7月には、液体酸素と液体メタンの代わりに液体窒素を充填し、打ち上げ手順を確認するリハーサルが行われました。

エスレンジ宇宙センターに設置された再使用型ロケット段実証機「Themis(テミス)」(Credit: ArianeGroup/SSC Space/Theo_MOKHTARI)
【▲ エスレンジ宇宙センターに設置された再使用型ロケット段実証機「Themis(テミス)」(Credit: ArianeGroup/SSC Space/Theo_MOKHTARI)】

さらに、SSC SpaceとアメリカのFirefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)は2026年9月9日、エスレンジから「Alpha(アルファ)」ロケットを2回打ち上げる契約を発表しました。打ち上げは早ければ2028年を目指しており、スウェーデンの安全保障関連の衛星に加え、商業衛星の相乗りにも対応する計画です。

Alphaの打ち上げ施設「Launch Complex 3C」では、管制施設や衛星の準備施設、ロケットの組み立て施設などが完成し、発射台の建設が進められています。観測ロケットや気球による実験に加えて衛星の軌道投入も担うことで、ヨーロッパ域内の打ち上げ拠点を増やし、政府機関や企業が宇宙へアクセスする手段を広げることが期待されています。

 

文・編集/sorae編集部

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参考文献・出典