IXV floating and waiting for recovery
Image credit: ESA
 アリアンスペース社は2月11日、欧州宇宙機関(ESA)の再使用型宇宙往還実験機IXVを搭載した、ヴェガ・ロケットを打ち上げた。IXVはその後、地球の大気圏に再突入して予定通り太平洋上に着水し、ミッションは成功した。
 ロケットは現地時間2015年2月11日10時40分(2015年2月11日22時40分)、南米仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターのヴェガ射場(SLV)から離昇した。当初打ち上げは10時ちょうど(同22時ちょうど)に予定されていたが、ロケットと地上設備との間のテレメトリーの接続が切れるという問題が発生したため、40分間延期されることとなった。
 打ち上げ後、ロケットは順調に飛行し、17分59秒後、高度340kmの地点で、IXVを分離した。なお、IXVは地球を回る軌道には乗らず、サブオービタル飛行と呼ばれる、地球を1周する前に大気圏に落ちてくる飛行経路に乗った。
 IXVはその後、慣性で上昇を続け、高度412kmまで到達。そこから降下をはじめ、高度120km付近で秒速7.5kmの速度に達し、大気圏に再突入した。そして滑空飛行を行い、パラシュートを開いて、打ち上げから約100分後の、日本時間2月12日0時19分ごろ、ガラパゴス諸島のすぐ西の太平洋上に着水した。機体の状態は正常で、飛行中のデータも予定通り得られており、ミッションは完璧に成功したという。
 IXVは、ESAによって開発された、将来の再使用型宇宙往還機の実現に向けた実験機で、フランスに本拠地を置くタレース・アレーニア・スペース社が製造した。全長5、0m、全高1.5m、全幅2.2mで、打ち上げ時の質量は1,845kgで、スペースシャトルのような大きな翼は持たず、胴体そのものが翼のように揚力を発生させる、リフティング・ボディと呼ばれる形状を採用している。また後部に装備された2枚の大きなフラップを使うことで、大気圏内である程度飛行を制御することが可能となっている。
 ESAでは再使用が可能な宇宙往還機の実現に向けて、長期的なロードマップを持っており、IXVはその中間段階に位置付けられている。IXV(アイ・エックス・ヴィーと発音する)はIntermediate Experimental Vehicleを略した名前で、そこにもIntermediate(中間)という言葉が入っている。
 ESAのJean-Jacques Dordain長官は「IXVは再突入と再使用の能力において、ESAのために新たな章を拓きました」と語る。
 また、これまでリフティング・ボディ機はソヴィエト連邦や米国、日本で打ち上げられたことがあるが、いずれも小さいながらも翼が付いていたり、あるいは大気圏内のみの飛行であったり、速度が遅かったりで、純粋なリフティング・ボディの宇宙機を宇宙から帰還させるというのは、IXVが世界初であった。
 IXVが成功したことで、ESAは次にPRIDEと呼ばれる、新型機の開発に移る。PRIDEはProgram for Reusable In-orbit Demonstrator in Europe(欧州の再使用型軌道往還機の実証プログラム)の頭文字から取られており、IXVと同じくヴェガで打ち上げられ、無人での自律飛行を行う。一方で、IXVとは違い主翼を持っており、滑走路に着陸することができる他、地球周回軌道上でロボットアームなどを駆使したミッションをこなすことができる。現在は検討段階で、2017年に開発が始まり、順調に進めば2020年に打ち上げられる予定となっている。
 ヴェガは欧州宇宙機関が開発した固体燃料ロケットで、今回が4機目の打ち上げとなった。アリアンスペース社では、大型ロケットのアリアン5、中型ロケットのソユーズ、そして小型ロケットのヴェガとロケットを揃え、多種多様な衛星の打ち上げに対応できるようにしている。ヴェガは小型ロケットではあるが、世界の他のロケットと比べると、どちらかというと中型に近い打ち上げ能力を持つ。また、打ち上げ能力を強化したヴェガ・コンソリデーテッド(ヴェガC)の開発も決まっている。
■ESA experimental spaceplane completes research flight / Launchers / Our Activities / ESA
http://www.esa.int/Our_Activities/Launchers/IXV/ESA_experimental_spaceplane_completes_research_flight

ページ上部へ戻る